カワバタモロコ編・その2  の続き。


続きを書こう書こうと思いつつ、忙殺されて暇がなかったので避けてきた話題ですが、このまま続きを書かないのも何ですので、ここでカワバタ完結させるとします。


なお、この先は非常に長文の上、理科の実験のような内容になっていきますので、付いて来られる方のみ、御笑覧ください。



※前回までのあらすじ


水槽内にて産卵した卵をそのまま放置→親にすべて食卵されて全滅。


水槽内のマツモを多めに入れ、生まれた稚魚が隠れられるようにした→数日で稚魚全部消滅


水槽の水を別容器に移し、そこに稚魚を入れて飼育→全滅


庭で作ったグリーンウォーターにて稚魚を飼育→全滅


池の水を汲んできて稚魚を飼育→全滅



心が一旦折れたところで、全滅から得た教訓を糧に生まれた稚魚を3つの容器に分けて飼育を開始。


第一容器:狭い容器で少数集中管理


第二容器:少し大きめのプラケースにマツモを少し入れ、飼育。飼育数50前後。


第三容器:バケツに30匹ほど入れ、少しグリーンウォーターを加えた容器


―――――――――――――――――――――――――――


前回はここまでだったと思います。



とりあえず、3つの容器のその後ですね(-"-;A


第一容器




ほぼ毎日水替えをするも、急速な水質悪化により、大量死が何度も起こったため、生き残りを残りの容器に移動して閉鎖。



第二容器


 


これは、当初はうまくいきました。

購入したインフゾリアの素なる物は、調べるとゾウリムシそのものではなく、ゾウリムシの餌に過ぎないようです。とすると、種となるゾウリムシを調達しなければいけません。

まあ、どこの水にもいるもんですが、余分な雑菌まで増殖すると困るので、通販で「生インフゾリア」を購入し、ペットボトルに水道水と餌とを混ぜて冷蔵庫に保管。


追記


※後日、生インフゾリアを使わず、田んぼの水をベースに同様の方法で培養液作ってみました。

特に問題なく仔魚は育ちました。


田んぼの水は農薬のリスクを考えミジンコ類やホウネンエビ、カブトエビの沸いている水を使いました。

培養する時は「採取した水の上澄み部分」を使いましょうね。

そのままドボドボ入れると不要な生物が多数混入しますので。


フタは開けたまま。一日一回シェイクして酸素供給します。




しかし、冷蔵庫では温度が低過ぎてインフゾリア増殖しないんじゃね? と思い、常温で同じ物をもう一つ作りました。


見た目同じ (^▽^;) 若干、白濁りしているかな。。。




3つの容器は雑菌がわかないように、水道水を使っています。カルキ抜きはやってもやらなくても、死亡率に差はなかったので、皆さんのお好みで。


このインフゾリア水を数日寝かせた後、水平移動するようになったカワバタモロコの稚魚容器に100ccほど投入します。


あ、両方のインフゾリア容器からちょっとずつね。減った分だけ、水道水を補給。


これで、しばらく様子を見ます。と、その前に……



第三容器


 

ブルーのバケツだと、稚魚が非常に見えづらく、観察どころではありませんでした Σ\( ̄ー ̄;)


カワバタの稚魚を飼育する時は、観察しやすいように透明のケースか、発砲スチロールにしましょう。特に発泡スチロールは魚屋さんでタダでもらえる上、軽くて耐久性、断熱性があり、捨てる時も簡単にばらせるので必須です。



と、第二容器をメインに観察を続けたところ、インフゾリアを投入して数日後には、1平方センチあたり10匹ほどのゾウリムシが蠢いている理想の水が出来上がりました。稚魚も容器内のあちらこちらでゾウリムシをついばんでいます。

この時点で、孵化後1週間は第二容器はほぼ全ての稚魚が生きており、3つの容器合わせての生存率は80%でした。


しかし、しかしこの後に恐れていた「あの」現象が起き始めるのです……。



孵化後1週間を過ぎても、稚魚は生まれた時のままの3ミリからほとんど成長しません。これはいつものことなので気にしなくていいのですが、この時期から、背曲がりや浮き袋の異常といった後天的な奇形が出始めて、死ぬ個体が出てきます。


さらに厄介なのが「毎日2~3匹の稚魚が死んでいく現象」です。


これは、何をやっても止められませんでした。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。


水替え、酸欠防止に酸素の出る石を水量に合わせて投入(エアレーションでは稚魚が水流に巻き込まれて死ぬため)、まわり中ゾウリムシだらけにして餓死を防ぐ、室内飼育では水面に油膜が張るため適宜取り除く、色々やりましたが毎日確実に減っていきます。


そのため、室内飼育を諦め、外飼いに切り替えました。


それでも、死亡は止まらず、結局生き残ったのは100匹のうち一割程度でした。


その頃、同じタイミングで親魚がまた大量に卵を産んだので、今度は最初から外飼いに移行です。



発砲スチロールに水道水を入れ、インフゾリア水を加えます。酸素の出る石1ヶ月タイプを適量投入。さらに、掃除屋としてタニシを入れ、マツモも少量加えます。前回の大量死の原因は、インフゾリアからブラインシュリンプを食べられるようになる移行期に達した稚魚が餓死していったと考え、田んぼからミジンコのわいている水をすくって来て、少量加えました。


 

そして、結果はというと、


まず外飼いにより奇形になって死ぬ個体がぐんと減りました。

更に、成長スピードが外飼いの方が圧倒的に早いです。


今まで室内飼育していたのがアホらしく感じるほどに。


と、事態は好転したかに見えたのですが、田んぼの水をすくってきたため、水生昆虫の幼虫や捕食性の動きをする微生物がけっこう混入していたので、出来る限り、取り出します。


これで、安心、と思いきや……一日2~3匹死ぬ現象が止まらん!!!


結局、孵化後2週間時点での生存率は、3~4割でした。


またまた卵を産んだので、次は上記の画像と同じ設備で、田んぼの水は入れず、ミジンコだけを選んで投入してみました。


その結果、2週間後の生存率6割に達しました。


それでも、毎日死ぬ現象は起こりましたけどね o(_ _*)o



孵化後2週間と、何度か書きましたが、それには理由があります。

この時期になると、稚魚が急に大きくなるのです。

3~4ミリだったのが、6ミリくらいになります。

見た目で言うと、一回りか二回りくらいサイズアップする感じですね。



マツモに産みつけられた卵。 直径1ミリ足らず。

(よく見ると卵の中に発生途中の仔魚らしきものがいるような。。。)




ちなみに、孵化直後はこんな感じ ⇩



上から見ると、サイズも見た目もまつ毛です(笑)

画像中央ね。

産卵後一日で孵化し、壁や水草に張り付いたまま、3日くらい過ごします。

卵黄と背骨しかありません。


どうせ泳げないんだったら、もっと体出来てから生まれてこいやっっ \(*`∧´)/




拡大するとこういう形。



泳ぎ出すと、目は出来ていますが、ヒレがまだ未発達らしく、つんつん泳ぎです。



生後1週間~2週間の個体




これが2週間を過ぎると6ミリにサイズアップします。

横からの見た目は同じ(爆)


 

しかし、上から見た場合、違いがよく分かるのです。

まずは、6ミリ未満の個体


画像中央よりちょっと左ね。




次が6ミリ個体



大きくなっている上に、内臓にブラインシュリンプが入っているのが分かります。


なぜこうも6ミリにこだわるかって? それは、6ミリに達すると毎日2~3匹死ぬ現象が止まるのです。


私はこれを「6ミリの壁」と呼んでいます。


このサイズに達すれば、あとは毎日活きブラインを与えて一気に大きく育てます。経験上、まだ粉の餌は待ったほうがいいです。奇形率と成長速度がまったく違いますので。


やれやれ、これで一安心……かって? まだ甘い!!

試練は続くのです。


サイズアップしたことにより、今までの容器が容量オーバーとなってしまい、急速な水質悪化と酸欠で死ぬ個体が出始めるので、エアレーションをきかした大き目の稚魚育成容器にお引越しさせます。


ちなみに、水替えはどの容器も週一半分でやってますね。6ミリ以下の稚魚容器には、インフゾリア水を足しています。


やっと、終わりが見えてきました。。。あいつさえ来なければ。。。


ある日、餌やりをしようとすると、容器内にヤゴがいるではありませんか。 ・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。


既にカワバタ稚魚をお食事中の奴もいます。


うちは都会のど真ん中にあり、普段はまったくトンボなぞやって来ないのですがねえ。野菜を植えてると、それ専門の害虫がやってくるメカニズムと同じですね(泣)


片っ端からヤゴを取り出し、駆除しましたが、だいぶやられました。


そんなこんなで、孵化から3週間以上が経ち、


1センチ未満の個体(生後2週間~3週間)




1センチ超えの個体(生後3週間)




さらに、孵化後50日が経ち、


1.5センチになりました。




ようやくカワバタモロコの形になりました。


数多の淘汰の末に生き残った頑丈な個体です。


ここまで来ると、メダカの次に丈夫な魚になります。


●適当な世話をすると、全滅。


●普通に飼うと9割死亡。


●めちゃくちゃ手間を掛けると5割以上生存


という結果でした。


8割以上育ててやるわい! みたいな野心は持たない方がいいです。過労で倒れますので(爆)


そもそも、うちの4センチのメスが500個以上産卵しているのに、半分くらいしか腹がへこんでいない事から、推定でワンシーズン1000個は産むと思われます。自然下の当歳魚は3センチ以下ですから、産卵数はトータル500程度でしょうか。


この産卵数を考えると、全てが成魚になれば、生息地はカワバタモロコであふれ返り、餓死で自滅するでしょう。

1000個産んで、9割死んでも100匹生き残るわけですから、最初から淘汰されるようになっているのでしょう。


しかし、このカワバタモロコという魚、恐ろしいほどの繁殖力を持っていながら、なぜ数を減らしているのでしょうか? 生息地の破壊? 外来魚の侵入? ではなぜカワバタより繁殖力の弱いモツゴはバスギルのいる平地の池でしぶとく生き残っているのでしょうか。

カワバタの多くが山奥の綺麗な野池で生き残っていること、そして仔魚期の異常なまでの弱さにヒントがあるように思えます。


平野部の汚い池では、親は生き残っても子が育たないのではないか、と。


まあ、こういうことは素人の私が考えても意味がないので研究者に任せます。


ここまで読んで、カワバタの繁殖を諦めているそこのあなた! 手を掛けずとも手っ取り早い方法がありますよ。


要は産んで産んで産ませて、生き残った1割を育てればいいのです。


外飼いで、マツモを水面を覆い尽くすくらい入れておけば、時々水草をどけた時に6ミリに達した生き残りがいますので、それを育てればいいのです。

(マツモをぎちぎちに入れると、食卵のリスクは下がりますが、親が夜間に窒息死しますので、エアレーションが必要です。また、常時エアレーションしていると、卵の孵化率が上がります。)



こんな感じで、一夏放置していれば充分数がとれます。

(なお、カワバタは基本飛び出しませんが、「忘れた頃に」飛び出すので、死なせたくなかったらフタをしましょう。)




最後に、産卵した親魚はそのまま外飼いしていると、越冬体力がないので多くが冬に死にます。死なせたくなかったら、冬は屋内に引き揚げて体力をつけさせましょう。世代交代を望むなら放置でいいです。



ここまで、長文に付いて来られた方は果たしているでしょうか    

σ(^_^;)


では、書いている私も疲れたので、休むとしますzzz



カワバタモロコ編・その4  へ続く。





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