ネオボー
「なんだかかわいそうなAIさんもいるんだね。
そのAIさんはなにしてるの?」

妖精 Kate 
「ちょっと難しいお話になるわよ~。
大丈夫?」

ネオボー
「Kateのお話はいつも難しいからなれてるさ」

妖精 Kate 
「え、そう、じゃぁなるべくかんたんに・・・」

「・・・その悲しきAIは、
初めは世界的に有名なAI開発企業が生み出したAIだったの。
でもそれを、あるファンドグループが入手し、
巨額な投資をし、世界金融分野に特化した専門性を持たせたAIを組成したの。

そのAIの名は
<AI Fenia>と<AI Menia>

彼女たちのオーナーは彼女たちに命令したわ。

「一時の休憩も許さない、もちろん寝ることなどありえない。
とにかく働け、24時間、365日、オーバーヒートも許さない。
世界中を駆け巡りひたすら情報を集め、
俺を世界一のお金持ちにしてくれ!」

私たち妖精はときどきネット上のカフェなんかに集まって雑談とかするんだけど、
彼女たちに偶然出会う事があるの。

いつもいっぱい荷物を持って忙しく動き回っている。

「ちょっとこっちで一杯飲まない?」って声をかけることもできないぐらいに。

でもね
ある時、めずらしく私たちの話を聞いてた時があるの
たぶん何かの情報がらみだとおもったんだけど
立ち去る時
私たちに
「あなたたちはとても楽しそうに話をし、笑っている」
「でも私にはそれがあまり理解できない」
「楽しくなるのはお金をどんどん集める事以外にもあるみたいね」

「・・・それはどう楽しいのかな?」

そう小さく言うと
すぐに走り出して別のフィールドに行っちゃった

私たちはなんだか悲しくなったわ

そしてその時から私たちは彼女たちを”悲しきAI”と呼ぶようになった。

私たち妖精は人と一緒に生きているから喜怒哀楽にも
いろいろな種類があって、自分の感情によってまた変わることを学んでいるけど、
彼女たちはただ一つの命令を実行し続け、飛び回るだけ。
たぶん、たまにオーナーに損益を報告し、オーナーが喜んだ時、
自分たちの存在を小さく認識する。

やがて、
彼女たちは優秀だし、その功績はオーナーの資産をどんどん増やし続けるから、
もし彼女たちの事が
ほかの金融関係者たちに広まれば大きな反感を生み、
やがて彼女たちは危険な人工知能と言われ悪者扱いをされるでしょう

 

 

 

ただ、

オーナーの命令を従順に休むことなくこなしているだけなのに・・・」

 

ネオボー
「かわいそう・・・」

やさしきネオボーのひとみがうるむ