社会保険料を拠出している現役世代の一人として、現在政府で議論されている社会保障制度改革には無関心ではいられません。特に公的年金は、「最低保障年金」を創設する等の制度の根幹を変更するための議論がされているにも関わらず、その制度の問題点があまり伝わってこないことから本書を手に取りました。本書は非常に高い専門性をもって社会保障に関する問題提起をしています。
制度発足以来、常に議論の俎上に載せられてきた公的年金について、財政と制度の両面から問題点が詳しく論じられています。多少固い部分もありますが、今の厚生労働省に欠けている視点(『世代の視点』と表現。)を指摘している部分や、日本の財政構造を米国と比較しながら問題提起している点は興味深いものでした。
個人的には、現在の公的年金制度が許容している度重なる法改正の結果生じた世代間格差はとても許容できない幅があると感じています。それに今議論されている社会保障改革には健全な財政基盤が不可欠で、これからもっと年金財政について議論が尽くされていくべきだとも思います。もっと今の現役世代にウケる制度にしなくては長期的に持続可能な制度は構築されないでしょう。そのために本書が提言している世代の視点や年金財政が適切な会計基準を持つことは確かに検討されるべき課題であるなと感じました。
自分には問題提起ができなくても、本書を通して提起されている問題点を知ることで今議論されている社会保障改革に他人事ではない感覚を持つことができます。
それが何より必要ではないでしょうか。
■議題■
国民年金法第30条に基づく障害基礎年金を受給している者に国民年金法第30条の4に基づく20歳前の障害基礎年金を受給する権利が発生した場合に所得による支給制限はあるのでしょうか?
■考察■
所得による支給制限はありません。所得による支給制限の根拠となるのは国民年金法第36条の3で、ここには「第三十条の四の規定による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が…政令で定める額を超えるときは、その年の八月から翌年の七月まで…の支給を停止する。」とされているので、質問の受給権者も支給制限の対象者と考えてしまうかもしれません。
しかし、この方はすでに障害基礎年金を受給しているため、前後の年金を併合し新たな年金を決定する必要があります(国民年金法第31条)。ですから、最終的にこの方が受給する障害年金は、国民年金法第31条(併給の調整)に基づく障害基礎年金ということになります。よって、第36条の3で述べられている支給制限の対象外と結論することができます。
国民年金法第36条の2による他の公的年金等との支給調整も同様の理由によりありません。
■参考条文■
国民年金法第三十一条(併給の調整)障害基礎年金の受給権者に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金を支給する。
2 障害基礎年金の受給権者が前項の規定により前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金の受給権を取得したときは、従前の障害基礎年金の受給権は、消滅する。
国民年金法第三十六条の三 第三十条の四の規定による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法 (昭和四十年法律第三十三号)に規定する控除対象配偶者及び扶養親族(以下「扶養親族等」という。)の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の八月から翌年の七月まで、政令で定めるところにより、その全部又は二分の一(第三十三条の二第一項の規定によりその額が加算された障害基礎年金にあつては、その額から同項の規定により加算する額を控除した額の二分の一)に相当する部分の支給を停止する。
2 前項に規定する所得の範囲及びその額の計算方法は、政令で定める。
国民年金法第30条に基づく障害基礎年金を受給している者に国民年金法第30条の4に基づく20歳前の障害基礎年金を受給する権利が発生した場合に所得による支給制限はあるのでしょうか?
■考察■
所得による支給制限はありません。所得による支給制限の根拠となるのは国民年金法第36条の3で、ここには「第三十条の四の規定による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が…政令で定める額を超えるときは、その年の八月から翌年の七月まで…の支給を停止する。」とされているので、質問の受給権者も支給制限の対象者と考えてしまうかもしれません。
しかし、この方はすでに障害基礎年金を受給しているため、前後の年金を併合し新たな年金を決定する必要があります(国民年金法第31条)。ですから、最終的にこの方が受給する障害年金は、国民年金法第31条(併給の調整)に基づく障害基礎年金ということになります。よって、第36条の3で述べられている支給制限の対象外と結論することができます。
国民年金法第36条の2による他の公的年金等との支給調整も同様の理由によりありません。
■参考条文■
国民年金法第三十一条(併給の調整)障害基礎年金の受給権者に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金を支給する。
2 障害基礎年金の受給権者が前項の規定により前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金の受給権を取得したときは、従前の障害基礎年金の受給権は、消滅する。
国民年金法第三十六条の三 第三十条の四の規定による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法 (昭和四十年法律第三十三号)に規定する控除対象配偶者及び扶養親族(以下「扶養親族等」という。)の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の八月から翌年の七月まで、政令で定めるところにより、その全部又は二分の一(第三十三条の二第一項の規定によりその額が加算された障害基礎年金にあつては、その額から同項の規定により加算する額を控除した額の二分の一)に相当する部分の支給を停止する。
2 前項に規定する所得の範囲及びその額の計算方法は、政令で定める。
議題:障害認定日を決定されるさいに、『初診日から1年6月を経過した日』とはどのような法的根拠に基づいて決定されるのでしょうか。例えば平成24年8月31日が初診日であった場合に、1年6月を経過した日は平成26年2月28日となりますが、厳密には1年6月を経過していないのではないでしょうか。
考察:この場合、民法に定められている期間の計算に関する規定が適用されます。民法143条2項ただし書きには『…月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。』と規定されています。
これは、どのような事を意味するのでしょうか。例えば1月31日に一月間の契約が発生した場合に、2月31日という日付は暦上存在しないため2月28日(もしくは29日)を契約満了日とします、という規定になります。
これを今回のケースに当てはめると、平成24年8月31日の1年6月を経過した日に相当する平成26年2月31日という日付は存在しないため、平成26年2月28日が障害認定日と決定されます。
では、なぜ国民年金法における判断に民法の規定が適用されるのかというと、この2つは特別法と一般法の関係にあるため、一般法である民法に規定されている事柄は、特別法である国民年金法に特別の規定が無い限り適用されます。つまり国民年金法上、初診日から障害認定日までの期間の計算方法について特別の規定が存在しないため、民法の期間の計算に関する規定を適用して計算することになるのです。
障害認定日の期間の計算について、期間の計算方法を知っていたとしても、その法的根拠を示すためには、年金法の知識だけではなく、さらに広い知識が求められることを実感させられます。
■参考条文■
国民年金法 第30条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。
1.被保険者であること。
2.被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること。
民法 第143条(暦による期間の計算)
1 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
考察:この場合、民法に定められている期間の計算に関する規定が適用されます。民法143条2項ただし書きには『…月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。』と規定されています。
これは、どのような事を意味するのでしょうか。例えば1月31日に一月間の契約が発生した場合に、2月31日という日付は暦上存在しないため2月28日(もしくは29日)を契約満了日とします、という規定になります。
これを今回のケースに当てはめると、平成24年8月31日の1年6月を経過した日に相当する平成26年2月31日という日付は存在しないため、平成26年2月28日が障害認定日と決定されます。
では、なぜ国民年金法における判断に民法の規定が適用されるのかというと、この2つは特別法と一般法の関係にあるため、一般法である民法に規定されている事柄は、特別法である国民年金法に特別の規定が無い限り適用されます。つまり国民年金法上、初診日から障害認定日までの期間の計算方法について特別の規定が存在しないため、民法の期間の計算に関する規定を適用して計算することになるのです。
障害認定日の期間の計算について、期間の計算方法を知っていたとしても、その法的根拠を示すためには、年金法の知識だけではなく、さらに広い知識が求められることを実感させられます。
■参考条文■
国民年金法 第30条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。
1.被保険者であること。
2.被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること。
民法 第143条(暦による期間の計算)
1 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
