ここは、大阪のミナミ。

お友達とカラオケに行く予定だった娘は、寝坊したお友達のおかげで、

私たちに同行する事になった。

思えばこれが、運命のイタズラとなった。





今日は、Knotの腕時計を買いに来た。




全てが日本の誇る技術で作られているらしく、

ベルトは、全国から選りすぐった伝統工芸と、コラボしたものが何種類もあって、好きなものを選ぶことができるという。

私は、山梨の印伝のベルトと決めていて、4色から茶色を選んだ。

それともう一つ、シルバーの金属メッシュを選んだ。

時計は同じでも、ベルトを付け替える事によって全く別物になる感じ。






時計に名前を入れてもらって、さっそく腕にはめて店を出た。





その後、夫と別行動で、私と娘は、


心斎橋のOPAで、服を見ながら、ウロウロした。


個性豊かな人が多くて、知らない外国語も至る所で飛び交って、


ここは、やっぱり、

大阪だなあと感じていた。



娘は、特に服には興味がなく、ただ、時間だけを費やしていた。



私は、娘に気を使った。


せっかく大阪まで来たのに、面白く無いのは申し訳ない。



どこに行きたいの?って、何度か聞いたら、数回目に、彼女は、重たい口を開いた。


本当はね、〇〇に行きたい。

そこのイベント会場で、お目当てのものがあるから。



〇〇は、前の御堂筋を渡ってすぐ正面にある。


なーんだ、先にそう言えば良かったのに。

今から行こう!

目の前の建物が、それだよ。



そして、夫と合流して、みんなで向かった。







そこには、イベントをしているような場所はなく…途方に暮れた。


ここは、本館。


隣に、〇〇南館があるから、


きっと、そっちに違いない!


そうして訪れた南館にも、そのような場所はなかった。




しきりにスマホを見る娘の横から、私たちも、スマホを覗き込んだ。


そして、イベント会場が見当たらないわけがわかった。


梅田やん!〇〇梅田!


ここは、〇〇心斎橋…









長堀の駐車場に戻るのかと思って、夫の後ろを歩いた。


けれど、夫は、地下鉄御堂筋線の心斎橋駅の改札に向かっていた。


なるほど。


1日最大1500円の駐車場に車を停めてある。


さらに、


梅田でまた、別の駐車場を探して、高い駐車場代を払うよりは、電車賃の方が安くつく。





地下鉄に揺られながら、


家族3人が思うことはただ一つ。


〇〇梅田といえば、一階の緑色のロゴの時計屋さんで、


お姉ちゃんが働いている…。




お姉ちゃんに会いに行って、この時計を買ってもらったよ。って見せようかな?


そう言ったら、夫も娘もケラケラ笑った。


そこはハイブランド。


桁違いの時計屋さんだから。





梅田の駅でほとんどの人が降りた。


地上に出て、信号を渡るにも、対向の人の群れにぶつかりそうになる。


激流に揉まれる魚みたい。


必死に夫の背中を追いかけながら、ようやく〇〇梅田の入り口に立った。




そこには…






時計屋さんの前には、スーツ姿で、白い手袋をした男性が、立ち、


入場制限をしていた。


とても、物々しい雰囲気。


前を通り過ぎて、すぐ斜めに、イベントの特設会場があった。


お母さん、これが欲しいと、娘は目を輝かせて1枚のカードを持って来た。


15400円のバッグの写真が写ったカードだったガーン


私の財布を覗き込んだら、なんと。


15400円ギリギリあった。


そして、私の財布にお金が無くなった💧






さあ、難波に戻ろう。


そして、また、時計屋さんの前を通り過ぎる時、覗き込んでみたら、なんとなんと!


偶然にも、お姉ちゃんが、


男性客と商談している姿が、奥の方に見えたのだった。


あのお姉ちゃんが、何百万もする商談をしているのかもしれないと思うと、感無量だった。


時には、4ケタ万円の腕時計も売れる時があるらしい。


笑顔が上品で、立ち振る舞いもしなやかで。


妹は、お姉ちゃんの働く姿を見て感動していた。





そんなにジロジロ見るわけにはいかなかった。


店員が、見張るように表を見て立っている。


怪しまれる。


デスプレイだけ、こっそり写真に撮って、その場を後にした。








後で見たら、もう一枚の写真に、お姉ちゃんが写っていた。


これは、私の宝物だ。






そして夫は、言った。


ここを見たんだったら、次男の職場も見て帰ろうか!



次男は、〇急メンズ館


ここからすぐだ。


途中、


とても懐かしい景色だと思いながら歩いた。


学生時代、夫と、この辺りをブラブラしていた記憶が蘇った。




お店はとても忙しそうだった。


でも彼は、今日は休日で、家にいるのは、よーく知っていた。




毎日、あんな田舎から、ここまで通うのは、大変だなあと思った。


でも、彼も夢を叶えたんだと実感した。







いつのまにか、子供の職場ツアーみたいになってると、私たちは、笑って、キタを後にした。



これも、今日、娘が、同行した賜物だ。





後半に続く。