時計に名前を入れてもらって、さっそく腕にはめて店を出た。
その後、夫と別行動で、私と娘は、
心斎橋のOPAで、服を見ながら、ウロウロした。
個性豊かな人が多くて、知らない外国語も至る所で飛び交って、
ここは、やっぱり、
大阪だなあと感じていた。
娘は、特に服には興味がなく、ただ、時間だけを費やしていた。
私は、娘に気を使った。
せっかく大阪まで来たのに、面白く無いのは申し訳ない。
どこに行きたいの?って、何度か聞いたら、数回目に、彼女は、重たい口を開いた。
本当はね、〇〇に行きたい。
そこのイベント会場で、お目当てのものがあるから。
〇〇は、前の御堂筋を渡ってすぐ正面にある。
なーんだ、先にそう言えば良かったのに。
今から行こう!
目の前の建物が、それだよ。
そして、夫と合流して、みんなで向かった。
そこには、イベントをしているような場所はなく…途方に暮れた。
ここは、本館。
隣に、〇〇南館があるから、
きっと、そっちに違いない!
そうして訪れた南館にも、そのような場所はなかった。
しきりにスマホを見る娘の横から、私たちも、スマホを覗き込んだ。
そして、イベント会場が見当たらないわけがわかった。
梅田やん!〇〇梅田!
ここは、〇〇心斎橋…
長堀の駐車場に戻るのかと思って、夫の後ろを歩いた。
けれど、夫は、地下鉄御堂筋線の心斎橋駅の改札に向かっていた。
なるほど。
1日最大1500円の駐車場に車を停めてある。
さらに、
梅田でまた、別の駐車場を探して、高い駐車場代を払うよりは、電車賃の方が安くつく。
地下鉄に揺られながら、
家族3人が思うことはただ一つ。
〇〇梅田といえば、一階の緑色のロゴの時計屋さんで、
お姉ちゃんが働いている…。
お姉ちゃんに会いに行って、この時計を買ってもらったよ。って見せようかな?
そう言ったら、夫も娘もケラケラ笑った。
そこはハイブランド。
桁違いの時計屋さんだから。
梅田の駅でほとんどの人が降りた。
地上に出て、信号を渡るにも、対向の人の群れにぶつかりそうになる。
激流に揉まれる魚みたい。
必死に夫の背中を追いかけながら、ようやく〇〇梅田の入り口に立った。
そこには…
時計屋さんの前には、スーツ姿で、白い手袋をした男性が、立ち、
入場制限をしていた。
とても、物々しい雰囲気。
前を通り過ぎて、すぐ斜めに、イベントの特設会場があった。
お母さん、これが欲しいと、娘は目を輝かせて1枚のカードを持って来た。
15400円のバッグの写真が写ったカードだった
私の財布を覗き込んだら、なんと。
15400円ギリギリあった。
そして、私の財布にお金が無くなった💧
さあ、難波に戻ろう。
そして、また、時計屋さんの前を通り過ぎる時、覗き込んでみたら、なんとなんと!
偶然にも、お姉ちゃんが、
男性客と商談している姿が、奥の方に見えたのだった。
あのお姉ちゃんが、何百万もする商談をしているのかもしれないと思うと、感無量だった。
時には、4ケタ万円の腕時計も売れる時があるらしい。
笑顔が上品で、立ち振る舞いもしなやかで。
妹は、お姉ちゃんの働く姿を見て感動していた。
そんなにジロジロ見るわけにはいかなかった。
店員が、見張るように表を見て立っている。
怪しまれる。
デスプレイだけ、こっそり写真に撮って、その場を後にした。
後で見たら、もう一枚の写真に、お姉ちゃんが写っていた。
これは、私の宝物だ。
そして夫は、言った。
ここを見たんだったら、次男の職場も見て帰ろうか!
次男は、〇急メンズ館
ここからすぐだ。
途中、
とても懐かしい景色だと思いながら歩いた。
学生時代、夫と、この辺りをブラブラしていた記憶が蘇った。
お店はとても忙しそうだった。
でも彼は、今日は休日で、家にいるのは、よーく知っていた。
毎日、あんな田舎から、ここまで通うのは、大変だなあと思った。
でも、彼も夢を叶えたんだと実感した。
いつのまにか、子供の職場ツアーみたいになってると、私たちは、笑って、キタを後にした。
これも、今日、娘が、同行した賜物だ。
後半に続く。