マンション玄関の植え込みのとこ。
道に迷った子犬のようにも見えるし、ふてぶてしい不良少年のようにも見える。
私がオートロックを解除すると、当たり前のように後ろについてきて、
「今日ってごはん、あんの?」
エレベーターの中で尋ねる君。
「大したもん、ないよ?」
振り返りもせずにそう答えると、
「ふーん」って。
部屋に入ると、真っ先にベッドに向かって、仰向けになって天井をみあげる。
夕飯の準備をしてると、天井を見上げながら、独り言のように君がつぶやいた。
「おまえってさ、なんにも聞かないのね。」
「急にどうしたの? とか・・・さ・・・」
「いや、話したいことがあったら話すだろうって思ってる。
話せる範囲のことはさ・・・ 言ってくれてんじゃないの?」
私もつぶやく。
君が黙る。
私も黙る。
台所で流れる水音だけが聞こえる。
「あのさ・・・・好きだよ」
はっきりした声で、
そしていつのまにか体を起こした君が言う。
私はやっぱり振り返らずに、流れる水だけを見つめて
視界がぼやけて、泪がこぼれた
「こっち向いて。」
「ちゃんと。
俺。
おまえのこと 好きだよ」
一語一語はっきりと、私の顔を覗き込みながら、そう言う君からは
『だから 安心して』っていう心の声が聞こえたきがした