大晦日、みかん里帰り | ~ 合歓の花の開く刻 ~

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心の琴線に触れた日常への返しうた

 

あけまして、おめでとうございます。


1月14日、愛猫みかん、2回目のワクチン接種でした。

結膜炎は、治りましたが、また新たに耳疥癬(ミミカイセン)が、発覚しました^^;

通称「耳ダニ感染症」といって猫特有の感染症で、感染猫に接触すると、伝染るもののようです。
母猫が感染していれば、子猫にも伝染ってしまいますね(汗)

結膜炎が治ったのに、今度は耳…。
外で生まれ育った子猫は、色々と難儀で、可哀想ですね(´・ω・`)


ところで、みかん、
実は、12月31日大晦日に、里帰りしました(笑)


今思えば、阿呆な飼い主です(汗)

3週間、家での暮らしも、だいぶ馴れてくれたみかんに、生き別れになった兄弟猫に会わせてあげたくなりました。


親離れしたばかりの、みかんは、顔が目ヤニだらけで、グチャグチャでした。
感染を怖れた先住猫達が、みかんを生まれた場所から、追い出してしまったのだと思います。

みかんは、兄弟のいる場所から、一画ほど離れた場所にいました。

ひとりぼっちで、寂しかったみかん。

「お兄ちゃんは、ここで元気に暮らしてるよ。」

と、見せてあげたかったのです。


私の大好きな猫動画の、ねこ吉ちゃんは、布バックの中から、ひょっこり顔を出し、飼い主さんと、外のお散歩を楽しんでいました。

 



 



みかんも、そんな風に、外の景色を楽しんでくれるだろう、
リードをつけた身であっても、兄弟猫との再会を喜んでくれるだろう、

そう安易に考えていました。


兄弟猫のいる場所の一画手前に、みかんの暮らしていた場所があります。

先にそこに、立ち寄ってみました。

みかんがいた時は、ボランティアさんが、毎朝ごはんを、置いてくれてました。
木材でできた、みかん専用の寝床も、用意されていました。

みかんを連れていく時、ボランティアさん達が、心配しないように、みかんを保護する旨の手紙を、寝床に置いていきました。

それが、どうなっているかも、気になったのです。


みかんの寝床は、まだありました。
ですがごはんは、もう用意されてませんでした。
手紙は、残っていなかったので、きっと手に取り、読んでくださったのだと思います。

安心しました。


寝床辺りで、キャリーバックを、少し開けました。
リードに繋がれたみかんが、辺りの様子を覗いています。


あっという間でした。

みかんは、キャリーバックから飛び出し、
激しく身をよじって、リードを外してしまいました。

子猫のみかんには、このリードは、少し大きかったようです。


荒れた空き地を、みかんは、どんどん進んでしまいます。


慌てました。
慌てて、荒れた空き地に入り、みかんを追いかけました。


荒れた空き地の先には、更に荒れた籔(やぶ)があります。


みかんは、籔(やぶ)の中へと、姿を消しました。


籔(やぶ)の前に立ち尽くしながら、私の頭は、ぐるぐると、色々な思いが、駆け巡りました。

お家での生活は、

みかんにとって、窮屈だったのか、
爪切りされるのは、嫌だったのか、
目薬は、辛かったのか、

みかんは、この荒川の自然で生きたいのか…

私はただ、呆然と籔(やぶ)を見つめるだけでした。


30分くらい経った頃、

「ニャーン…」

小さな鳴き声が、聞こえてきました。

「みかーん、みかーん!お母さんは、ここだよ!」

答えてみます。

すると、首輪についた鈴を鳴らして、籔(やぶ)の中から、みかんが覗いています。

私を確認するや否や、
またみかんは、籔(やぶ)の中へと、消えていきました。


鳴いた声は、心細げに聞こえました。
私を確認する目は、安心したように見えました。

 


少しここで、遊びたい。

 


そういうことだったのでしょうか。

私は、しばらく籔(やぶ)の前で、みかんを待ちました。

 

 


午後4時半、辺りが夕暮れに差し掛かりました。
暗くなっては、私は無事には、荒れた空き地を歩けません。

「みかーん!みかーん!」

私は、もう一度、みかんを呼んでみました。

チリン、チリン…

みかんの鈴の音が、聞こえます。

籔(やぶ)の中から、そっとみかんが、顔を出しました。


嬉しい気持ちと、焦りを隠せない手で、みかんを抱き締めました。

もともと、抱っこが嫌いなみかん。
私の焦りも伝わったのか、激しく暴れて抵抗します。

みかんの腕が、変な具合に私から離れてしまい、骨折などを恐れて、私は、抱き締める力を、緩めてしまいました。

その隙に、みかんは、再び籔(やぶ)の中へと入ってしまいました。

もう呼んでも、戻ってきてくれません。


もう辺りは、蒼く暮れました。
後ろ髪を引かれながら、私は、帰路へと向かいました。


今日は大晦日。
家に着き、夕食とごはんをすませ、
NHKの紅白歌合戦を観ながら、
年越しそばを、食べました。

だけど、みかんの事が、頭から離れず、
紅白歌合戦も、全く耳に入らず、
年越しそばの味も、わかりませんでした。

友達とブログコメントやLINEなどで、年末の挨拶を交わします。
手紙をくれた友達もいました。

ブログコメント、LINE、手紙で、
みかんの話題に触れることもあり、
その文字を見るたび、心が、

ズーン…

と、重く軋みました。


除夜の鐘の響く夜、布団に潜れば、

みかんは、凍えているだろう…とか
お腹を空かせているだろう…とか

心配ばかりが、頭を駆け巡りました。

早く夜が明けてくれないか…と、一睡もできずに、祈るばかりでした。


初日の出前の夜明け。

バスタオル
タオル
みかんの食器
みかんの好物

これらをバックに詰め込み、私は逸(はや)る気持ちを抱き締めて、荒川の土手へと向かいました。


いつもは閑散とした、早朝の荒川の土手ですが、今日は、人で賑わっていました。
初日の出を拝みに、集まったのでしょう。

東の空の縁がうっすらと、オレンジ色です。


籔(やぶ)の前で、

開いたキャリーバックを、バスタオルで隠し、
みかんの食器を置き、

「みかーん、ごはんだよー。」

みかんを呼んでみました。

すると、

チリン、チリン…、

籔(やぶ)の後ろの、土を盛った小山から、みかんが姿を現しました。

籔(やぶ)をくぐり抜け、こちらを見ています。

飼い猫の、お腹を空かせた甘えた目では、ありませんでした。
空腹を抱えた、警戒した野良猫の目でした。

それでも、小さな声で、

「みかん、ごはんだよ。」

と言って、みかんの食器に、好物をカラカラと音をたてながら、入れて見せました。

空腹には勝てずに、警戒しつつも、少しずつ籔(やぶ)から這い出たみかん、

1口2口食べた後、警戒した目で、こちらを見上げてきます。

猫を、みつめてはいけない。

ゆっくり、瞬きをゆっくりするように、2~3回、これを繰り返しました。

すると、みかんは安心したように、ガツガツと、ごはんを食べ始めました。

ちょっと、良心の呵責を感じながら、みかんの背中の上に、タオルを広げ、一気に包み込み、抱き上げて、キャリーバックへ放り込みました。


みかん、捕獲成功!


キャリーバックが、開いていないか確認し、

バスタオルとタオルを畳んで、
みかんの食器と、ごはんを片付けて、
バックにしまい込むと、

一気に肩の力が、ドッと抜けました。

安堵の吐息を、ひと息ついて、
東の空を見上げると、

綺麗なオレンジ色の初日の出が、空を飾っていました。

ようやく私に、お正月が、訪れてくれたようです。


たった、3週間暮らしただけで、
居場所も、生死も分かっているのに、

一晩そばにいなかっただけで、

こんなにも身が軋むように、寂しく感じるものとは…。

わすがの間で、
みかんは、私のかけがえのない大切な存在に、なっていたことに、気づかされた出来事でした。


いつか、みかんが天に還った時は、
私は、「ペットロス症候群」必至ですね(汗)

 

 

2017年1月元旦 みかん

 

 

どくしゃになってね…