合歓木
グラスの氷の傾く音
気づく暇もないほど
奇跡を信じる君の瞳
僕の横顔を照らして
起こす術を訊ねたね
いつも高いところを
見つめる君の横顔の
薄桃色の頬は綺麗で
いつも僕はこっそり
心を傾けていたんだ
「紅く咲く桜はない」 と
薄桃色の君に僕は告げた
八重の桜は
君の目の届かない場所で
この春も紅く舞い上がる
紅く咲く桜
君を連れていかないよう
君に目隠しをしたのは僕
二杯目のグラスの
寂しげに眺めた君の
瞳が僕の心に痛くて
飲みかけのグラスを
カラカラと響かせた
見えない桜を探して
手を伸ばす君の横顔
薄桃色の頬は綺麗で
こぼれ落としそうで
僕は心を握りしめた
「ありのままの君が好き」と
君に告げることができたなら
紅く咲く桜
今も君は探してるのかな
この春も紅く萌え上がる
想う儘咲け
今僕は目隠しを解き放つ
失う恐さを手放すのは僕
画像提供：無料写真素材 写真AC 撮影者：acworks様
☆ 春がよく似合う大好きな友人に捧げます。☆
