翔くんの香りに包まれているうちに眠ってしまったみたい。
ご飯だよって言われて急いでさらにお誕生日の日にできなかったパーティーまでしてくれるって言われたら、パッチって目が覚めた。
寝間着じゃなかったけど汗でベタベタなのはわかってたから全部脱いで、もちろんパンツも替えたんだ。
で、ふっと気がついた。
ボク、翔くんの前で裸ん坊になって着替えちゃった。
翔くんの方を見たら、赤い顔をしてボクを見ないようにしてる。
やっぱ、前ぐらいは隠した方がよかったかなぁ。
でも、もし今おうちにほかのみんながいなかったらボク……もしかしたら……裸ん坊のまま抱きついちゃってたかもしれない。
ボク……みんなも好きだけど翔くんが一番好き。
おかしいのかなって思ったけど、本当は、ボク見ちゃったんだ。
内緒で和也とまーくんがほっぺにチューし合ってたこと。そんでその後、口にもチューしてたことも。
だから翔くんが好きって気持ちは間違ってないんだ。
だって、ボク翔くんとチューしたいもん。
でも、この気持ちは言っちゃいけないような気がする。
だって、おじさんの言う独立ってこととは違うような気がするんだ。
おじさん(おとーさん)が、『みんなもこの施設から独立して自分のやりたいことを探してちゃんと大人にならなきゃだめだよ』って言われてから他のみんながいるところから離れてお家を引っ越してきたのは2年前。
ボクは高校一年生に編入(っていうのかな?)して和也と二人で高校に通ってる。
楽しいことはいっぱいあるけど、そこには翔くんはいないんだ。
まーくんと翔くんは同じ学校。
智にぃは芸術のお勉強をしてるんだって。
独立とか独り立ちとかわからない言葉を言うおじさんは絶対に間違ってないんだけど、ちょっと寂しい。
でも、皆でいられるからいいかな。
「潤、どうした?まだ気分悪い?」
あ、いけない。
「ううん、大丈夫。パーティ、パーティ!翔くん下に行こう!」
今の気持ちを隠して、ボクははしゃぎながら翔くんのでを引っ張った。
汗でベタベタしてないかなって不安だったけど。