初めて聞く話にボクは胸がつまってきた。
鍵を返してくれた時、お膝に大きな絆創膏をしていたのはそういうことだったんだ。
「その時からしょうたちゃんと仲良くさせて貰っててね」
「んふ、2人が学校に行くまで共犯者になってくれたんだよね」
「なに言ってんの。
小学校に上がってからもにのさんに会いに行くための共犯者してたじゃない」
「あれぇ?そうだっけ?」
「いきなりパパさんから電話あった時はどうしようかと思ったよ。
カズくんが『こうしようよ』って言ってくれなかったら大変なことになるところだった」
「カズくんさんは何て言ったの?」
「ん?俺?
電話を忘れて帰っちゃったから僕達が自転車で追いかけるって言ったんだよ。
じゅんくんはテンパってたけどね」
「てんぱる?」
「すげ~慌てることだよ」
そういえばそんなことがあったなぁ。
じゅんちゃんがおうちに入らないって言ったのもその時だった。
すごくボクの事を考えてくれてるって知って感動したんだ。
「その後も色んな事があったの。
だからね、しょーたちゃんはボクらの弟なの。
それはずっと変わらない」
「矯生とぼくみたいに?」
「そうだよ」
ボクの胸の中に温かいものが灯った。
わかっていても言葉にして貰うのは特別なんだ。