「あー、汚えぞ、部屋」
訪れた小栗の部屋はびっくりするぐらい散らかっていて、
「んふふっ!あはっ!」
「何だよっ!男の独り暮らしなんてこんなだろ!」
そう言われたけど、
「じゅ、Jr.の時のしょ、翔くん家みたい」
笑いが止まらない。
「んふーっ!ふふっ!んは、はははっ!ひーっお腹痛いっ~、きゅふふはふはあはぁ」
一頻り笑って、ハッとして小栗を見れば、なんか、こう…?
「ようやく殻割れたんだな」
ぐりぐり頭を撫でられた。
「あ…」
「お前、いつも殻に閉じ籠って『誰もさわるな』って言ってた。けど、今のお前はそんな感じはしない。俺、下世話なこと言うやつらは嫌いだけどお前の話が出る度に『滝沢』って言葉が付きまとった」
「おぐ、り」
「でも、さ。俺はそういうことを関係なく一緒にドラマを作り上げていく仲間としてお前の態度と気持ちの持ち方が気に入んなかった。目に力がないんだよ。嫌々こなしてる感じ…。嫌いだった」
思わずうなだれてしまう。
全部本当のことだから。
「よし、なんとか座る場所確保。座れよ…潤」
「ふえぇ?」
「だから座れって。酒しかないけどいいよな!」
お、お酒?
「だめだよ、足怪我してんだよ!ダメダメダメダメダメ」
「やだよ。せっかく潤のことわかってきたきねんなんだから!」
「だめー!小栗だめー!ボク飲まないよぉ」
「しゅん!」
「しゅ」
「旬だよ。今日からもう友達だろ」
友達…と、も、だ、ち?
ボクの周りは敵ばっかで、グループのみんなにも…。
大好きな翔くんにも…。
「ボク…おぐ…しゅんに友だちって言ってもらえるの?」
「今までのお前は嫌いだった。でも、今日のお前とは友達になりたい」
ぱたぱた涙が、落ちてきた。
ボクは、ボクは…そっか、今まで敵しかいなかったんだ。