「いつまでそうしてる?みっともないから家の前で抱き合って泣くな、近所の目もあるだろうが」
内容とは裏腹にとても優しい声。
「そうね、ご馳走は夜にするとして、まずは朝御飯を食べましょう?もうすぐお父さんも漁から戻ってくるわ。今日潤ちゃんが帰ってくることなんな知らないから驚いちゃうわね 」
お父さん……。お父さんでいいんだよね?呼んでいいんだよね?
「お父さん、ボクのこと覚えてくれてるかな?」
「当たり前よ!さっ、中に入りなさい。翔、潤ちゃんの荷物は?」
振り向けば苦笑を浮かべたしょうさんが、ボクの腕の中からふわりを掴み出して、
「先に行け。土産もあるから取ってくる」
車の方へ踵を回す。
じたばたするふわりに、
「取り合えずキャリーバックに入っておけ。ちゃんと潤のところに連れていくから」
真剣な顔で言い聞かせてるのが可笑しかった。