パンパンとまるで冗談のような銃声が深夜の構内に響き渡った。
始まった。
俺達も動き出す。
不安そうな潤の手を引き、正面の門まで行く。
後は……。
「ききゅきゅきゅきゅっ!」
りっちゃんが叫びながら塀近くの木に登っていった。
「あれは!」
「やばい、松本の研究室の猿だ!逃げる気か!」
「こんなときに!」
「裏門のやつらは?」
「連絡がとれないがさっきの銃声は彼奴らのものじゃないのか!」
焦っているのが伝わってくるが動く気配がない。
【こちら応戦中、正門には怪しい人影は?】
【猿が逃げようと!】
【逃がすな!手に追えないなら殺せ!】
【わかった】
無線の声はゾッとする内容で、潤が俺の手をギュット握りしめて泣きそうな顔をする。
正門の警備員は一人を残して外へ駆け出した。
その隙に岡田さんが飛び込み警備員を倒すと手招きをして俺達を呼んだ。
「潤、先に行け」
「え?」
「いいから行くんだ」
その背中を押し、俺は岡田さんから預かっていた銃の安全装置を外した。
続