目隠しをされて、潤の手に縋るように狭い通路を歩いた。
「このまま待っていてください。
ちょっとネクタイとか弄りますよ」
そう言って、さっきまで緩んでいたネクタイを直され胸ポケットにも何か入れられた。
「なあ、目隠し取っても良いか?
なんか、怖いんだけど」
「まだ、です」
そう言って潤は俺の手を押さえる。
「向こうは?何て?」
「あ、もう着いたみたいです。
でも、ちょっとごねてるみたいなんでボク、カズの所に行ってきますから翔先輩のことお願いしますね」
パタパタと遠ざかる靴音。
入れ替わりに俺の肩に智くんの手が載せられる。
「どうなってるのさ、智くん。
雅紀の所に行くって言われたり、目隠しさせられたり。
からかうんなら他を当たってよ」
「からかってないよ。
良い後輩を持って、翔くんは幸福者だよ?
潤とニノがやろうとしてることちゃんと真摯に受け止めてあげてよね」
じゃあ、せめて目隠し取らせてくれって叫ぼうとした時、大きく扉の開く音がした。
「お待たせしました。
目隠しをとってください」
そこにいたのは手に真っ白なブライダルブーケを持った雅紀。
潤に手を引かれてバージンロードを不安そうに歩いてくる。
「なに、ここ、教会?
な、んで?」
「ボクたち【翔先輩と雅紀先輩を愛でる会】からのプレゼントです。
ボクたち3人と神様の前でとっとと愛を誓っちゃってください」
「え!」
「翔ちゃん・・・、僕」
声を上げてしまったのを否定と思ったのか悲しそうな声を出す雅紀。
俺は、その手を強く握り締めた。
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