くてんってしてみる。
楽屋の、たたみのほうで。
眠いのとも違う。
ただ、力が入らないだけ。
みんながいない撮影だから、ちょっと淋しい。
翔くんも、大野さんも、相葉くんも、あ、『まぁ』って呼ぶ約束したんだっけ。
カズもいない。
今日はみんなとは会えない。
みんなお仕事、ボクもお仕事。
誰かが呼びに来たら、くてんなんてしてられない。
ピンって神経張って、シャキっとしなきゃ。
でも、今はくてんの気分。
早く、ボクん家来てくんないかな・・・。
もう、2週間も前だよ。
充電、きれちゃう。
ウルトラマンなら赤点滅だ。
ブルブルって持ってたモバイルがふるえる。
【潤の家いついけんの?
翔くんからのグループメール。
だってみんなお仕事でしょ】
【そんなんどうにかなるでしょ
【なります。
翔くんとカズが良くたって
大野さんとまぁが、ダメかも】
【潤ちゃんが呼ぶならいつでも!
【おれも、いつでもいくよぉ
お魚釣ってくぅ?
びっくりした。
みんなのお返事すぐ返ってきた。
「んふ、ふふふ!」
嬉しくなって、起き上がる。
早く来て!充電切れギリギリなの】
【明日!
【明日にすっか!
【絶対に明日だね!
【そうしましょう。
うん!待ってる!】
ボクのくてんは終わったみたい。
だって明日はみんなに逢えるんだもん!
「松本さん、スタンバイよろしいですか」
「はい!」
ボクは背筋を伸ばし扉を開けて、スタジオへと歩き出した。