匂蕃茉莉:浮気な人
本番前、腹筋してたら潤くんが僕にじゃれ付いてきた。
くるくると表情を変えて悪戯を仕掛けてくる潤くんは、本当に可愛くて、
「やめてよ~」
って言いながらギュって抱きついちゃった。
「きゃははは、離してよ。降参、降参」
後頭部をぺたって床につけて、下からのぞきこんでくる姿にドキッとする。
「降参って、潤くんの方から仕掛けてきたんでしょお~。そういう奴にはこうだ!」
足で潤くんを動けないようにしてわき腹を擽れば、
「わ~やめてよ~まーくん、や~だ~!」
顔を赤くして一生懸命に逃げようとする。
「やだね~だ。動けないでしょ。結構力あるんだからね、僕!」
「や~ん、ほんとにくすぐったいよ、や~、いや~」
僕の下にいる潤くんを見降ろして意地悪してるうちになんか変な気持ちになってくる。
そろそろやめようかな?って思った時、おーちゃんに、
「あいばちゃ~ん、声だけ聴いてると、潤くん犯してるみたいだよ~」
って言われてあわてて潤くんを離す。僕の下から逃げ出した潤くんは、
「大野さんは間違ってないよ。ヤダって言ったのにぃ、無理矢理なんだもん」
ってぷんぷん怒ってる。怒ってるけど、僕は赤面してしまった。