一抱えもある紙袋の中には今日の夕食の材料。
スーパーから直通のエレベーターの中、潤はポケットから家の鍵を取り出しボクに渡すと、
何も持ってないボクの手を握りしめ、自分のポケットの中に入れる。
そして、潤の部屋の前、扉の前で潤を仰ぎ見るとにこやかに笑った潤は、
「次の New Year は、一緒に歳を取るんだな」
と言った。
いつも、クリスマスはツアー中で、どちらかと言うと前日の相葉くんのお祝いに明け暮れているから、
潤に『遅ればせながらのクリスマスパーティーを2人っきりでしよう』なんて言われるなんて思っても見なかった。
『俺が全部作るけど、買い物は付き合えよ。お前好き嫌い激しいんだからな』笑いながら言った潤。
潤のマンションの下のスーパーで食材を選んでどんどんカゴに材料を放り込んでいく潤。
タクシーで帰ってくるときに見た外は粉雪が降っていた。
「寒い寒いと思っていたら、外、雪が降ってましたね」
「本当だな。ホワイトクリスマス?とか?」
声はにこやかに、でも真剣な目で材料を選んでる潤。その背中に勇気を出して言ってみる。
「ねぇ、潤・・・」
「和?何?」
「あのね、いつも潤の家には、『こんにちは、お邪魔します』『バイバイまたね』じゃないですか?
あれ、ね、あれ、ヤなんです」
食材を選ぶ手を止め、驚いた顔で立ち止まり、振り向く。
少し恥ずかしかったけど、さっき見たタクシーの窓の外、キラキラとしたイルミネーション、ウィンターセール、
その光を眼に反射させた、キラキラのボクの大好きな大好きな潤の横顔を見ていたらすごく良い事を想いついたんだ。
それを、言葉に出してみる。
「あの、さ、潤、一緒に暮らさない?」
潤はカゴを足元に置き、じっとボクを見る。
「ほら、あのね、粉雪も降って来たし、寒いし、一緒に暮らしたら『さよなら』を言わなくて済むじゃない?」
「んふふ、和からそんなこと言ってもらえるなんて・・・」
すごく嬉しそうな潤は人目を掠めるように、ボクの口唇に軽くキスした。
「本当は、今日俺が言おうと思ってたんだよ」
『降りしきる粉雪も祝福してる
運命を捕まえた 愛してる
部屋のドアを開けたら、一緒に暮らそう・・・』