真っ白なシーツの波の中で目覚めた。自分の姿を見れば、何も身に纏っていない。
昨日の事に顔が赤くなる。
夕べは「一人で見るにはさぁ」と誘われるままにこの部屋に来て、ツアーのDVDを見ていた。その中で、大野さんの頬にキスをする姿が映り、はにかんだ大野さん、うっとりと笑うあんたを見て、無性に腹が立ったんだ。
「ねぇ、キス、しよ・・・」
「は?何言ってんの、お前・・・」
「だって、大野さんとはしてたじゃん。私とはできませんか?」
「それは、演出だろ。第一お前とだってして・・・」
「俺の時はこんな顔してない!こんな、愛おしそうな顔、してないよ!」
何で、あんなこと言ったんだろう。しかも、何で、涙が溢れてきたんだろう・・・。
俺を見るあんたの驚いた顔を見て、しまったって思った。ずっと胸の中に隠して、墓場まで持ってこうと思っていた気持ちが溢れてしまった。
わかってる。この人は、ノーマルだ。
今だって付き合ってる女の人がいるのを知ってる。こんなこと言っちゃいけなかったんだ。
「な~んてね!」慌てて立ち上がる。ダメだ。ごまかさなきゃ。一緒に居られなくなる。
「冗談冗談。なんか腹痛くなってきちゃったから帰るね。オヤスミナサイ、J」
踵を返し、潤から離れようとした時「待って、和」やんわりと、その手を取られた。
身体が固まる。潤が動く気配がする。
「っ!」俺の手の甲に、潤の口唇がそっと押し当てられ、そして、強く吸われた。
「和、こっち向いて」
でも、俺は吸われた手の甲にすべての神経が行っちゃったみたいで、身体を動かす事も出来ずにいる。
「しょうがないな」ふわりと潤の香りに包まれた。立ち上がった潤に後ろから抱きしめられているってことに気が付くまでに、かなりの時間があったような気がする。でも、実際は、数秒だった?
「和・・・。オレ、この気持ちは墓場まで持ってくつもりだった。女と付き合ってごまかしたこともあったけど・・・無理だった。俺はね、もう、ずっと、和の事が大好きだよ」
「じゅ・・・」
「和も、俺の事って・・・自惚れてもいいのかな?」
「俺・・・、俺・・・」
「俺?・・・何、和。言って・・・?」
それ以上、言葉にできなくて、俺は潤の首にかじり付いて口唇を合わせたんだ。
ソファーのところで脱ぎ捨てた服はベッドルームには無く、シーツを巻き付けてこっそりとリビングを除く。ジーンズ一枚の潤が「お、起きた?まだ寝ててよかったのに。お前、今日仕事オフだろ?オレは夕方だからさ」とミルクコーヒーの入ったマグを俺に差し出しながら言った。
そして、ちょっと首を傾げコーヒーを飲む俺を見て・・・「純白の花嫁さんだな、和」と愛おしげに笑ってくれた・・・。
コーヒーの日に・・・