「おかしいんだ、オレ・・・」
泣きそうな顔で潤くんが言う。
「さっき・・・さっきね、ニノが撮影し出してから、オレ、音が聴こえなくなってた。
たぶん、何にも見えて無かったと思う」
「見て、たよね?見えて無かったの?」
和はびっくりした顔で潤くんを見る。
だけど、潤のガラス玉のような瞳を何度も見ているおいらには、ちっとも不思議じゃない。
でも、耳まで?
「だから、突然、オレの視界に音と共にスタッフさんが入ってきて・・・
その、顔が、無かった・・・。ハッと思った瞬間にはもう、息が出来なくて・・・怖くて・・・」
「・・・」
「・・・」
和もおいらも何も言えない。
潤くんの中に何が起こってるのか解らないけど、大変なことが起きつつあるのだけは事実だ。
「は、じめて?・・・これが、初めてだよね、潤くん」震える声で和が聴く。
するとゆっくりと首を横に振り
「今までも、1人の撮影の時、息苦しくなったり、動悸がすることは何度かあった。
マネージャーさんには口止めしてたんだ。
我慢出来る範囲だったし・・・でも、あんな発作は初めてで・・・」
と驚く発言をした。
次々と明らかになって行く、潤くんの行動。
でも、もう一つだけ気になってしょうがないことがある。
「潤くんさ・・・意識無かったのに、翔くんの声が小さく聞こえたら目を覚ましたよね。
・・・あの時・・・翔くんの声、聞こえたの?」