オレの復帰までの道のりはそう簡単ではなかった。
食事をとることから始め、身体作り、すべてが一から始めたようなものだった。
社長に復帰の許可を貰うまでも、マスコミの対応も・・・。
苦しいことはたくさんあったが、翔さんが、まーが、カズが、大野さんが、そしてオレに関わる全ての人の力が支えてくれた。
そして、この場に立つことができた。
「怖いな・・・」
円陣を組もうとするが、手の震えが止まらない。心配そうなスタッフやジュニアたち。俺がこんなんじゃいけないのに・・・。
スッと円陣を解いた翔さんが自分の手を前に差し出す。その手は震えていた。
「俺もさっきから震えが止まんない」
「実はワタシもなんです」
「おれも・・・」
「おいら、手汗がすげーよ」
「でも、やっとここまで来た。成功させるぞ」にやりと笑う翔さん。
「ほぉら、潤くん掛け声!」本当に、緊張しているんだか、何だかわからないほわんとした声の大野さんに背中を押されて円陣を作りなおす。
「ここまで、一緒に頑張ってくれてありがとう!ここから本番、ツアー初日、行くぞ!」
全員の声が合わさり、オレ達はステージに飛び出す。
一面のムラサキ・・・。
俺を呼ぶ声・・・。
みんなの笑顔・・・。
『おかえり』と言う声に振り返れば愛しい翔さんの姿・・・。
戻ってきた。ここがオレがいる場所。・・・もう二度と間違えないから。
fin