抵抗なんてできない。大好きな人がオレを抱き締めてくれている。
オレを探し出してくれた。逃げていたのに、なのに嬉しいなんて・・・。
でも、それじゃあいけないんだ。
「なんで・・・オレなんかを探してくれた?四人で、ツアーも、曲も・・・オレが戻らなくても、平気だっただろ?ブルーレイ、見たよ?」
「社長が送ってたのは、普通に出回ってる奴、な」
「え?何?」
「おいで、お前はこれを見なきゃダメだ」
翔さんは自分の鞄からブルーレイを取りだし、オレを腕の中に包み込みながら再生する。
その映像に言葉を失った。
曲の構成もフォーメーションも、全てオレがいるような動きに、会場がどよめく。クレーンが5本上がるが紫のソコにはオレはいない。いないのに、客席からオレのウチワを持った子達からは歓声かあがり『はやく帰ってきて』『待ってるよ』『潤がいないと、幸せになれないよ!』
オレを呼ぶ言葉。
「潤、眼を逸らさないでちゃんと見て」
思わず眼を伏せるオレを翔さんが叱る。
そして・・・コンサートの終わり間近のMC、本来だったらオレのシメ・・・翔さんがマイクを取った。