酸素が足りなくなり、鼻から酸素のチューブをつけ始めた。
左脇腹にドレーン(管)を入れて、腹腔に溜まった膿を出し始めた。
立ち上がれなくなり、ベッド脇にポータブルトイレが設置され始めた。
フォーレ(オシッコの管)を入れ始めた。
父が入院して13日目、その日私は昼過ぎに面会に来た。
父は眠っていたが、ふと目を覚ました。
「おう、ミネか。」
その声は、仕事で何度も聞いた、胸水が溜まり過ぎた人から発せられる声に変わっていた…。
何を思ったのか、父は息を切らしながらベッド柵を掴んで起き上がろうと必死だった。
自力では起き上がれなくなっていた。
私の介助とベッドのギャッジアップのリモコンで何とか起き上がった父は、あり得ないほど汗だくになっていた。
1分ほど経っただろうか。
父はリモコンと私の手でベッドへ横になった。
息を切らしながらも、こちらを見てニコリとしながら
「ミネが来ると、ホッとするな。」
それだけつぶやいて、眠り始めた。
起こすのも悪いので その日は帰ることにした。
これが、父との最後のやりとりだった。
