<第39号 TOP 画像                               ж 39 ж 西へ東へ>

ж 42 ж 「猫の手も借りたい」

 投稿日時 2010/12/4(土) 午後 6:07  書庫 猫の間  カテゴリー
 


猫の前足のプニプニ
1-指球 2-掌球 3-蹴爪球 4-手根球



 ウニャウニャニャウニャウニャニャウニャニャニャカカカじっと手を見る
 1、2、3、4、5。あれ?この出っ張りは?6?
 
 「手」とは何でしょう。
 我が家の大広辞苑たるちっぽけな辞書を引くと「人間の肩から先、肘から先、手首から先の部分」とありました。つまり手とは前足の人間における呼び名という事のようです。でも、四足の動物の前足にも用いる、とあります。例には「おたまじゃくしに-が出る」とありました。確かに歌には「やがて手が出る足が出る」とありますが、(あれ?順序逆じゃない?) 蛙が四足動物というのがちょっと遠い気がしないでもありません。
 もっと身近な動物で手と言えば犬の「お手」。
 あっ、でもこれも犬の前足をさす言葉ではなく前足を人の手に差し出させる行動のことですね。するとこの「お手」は「手を出しなさい」という意味なのか、「人の手に前足を乗せなさい」という意味なのか。なんで「お」が付くのか?そもそも犬は前足を「手」と呼べるほど駆使しているのか?
 これだったら猿の方がよっぽど「手」ですね。でもテレビなどでは「前足を器用に使って」と表現されます。あっ、でも部品になると「手」と表現されますね。「熊の手」という高級食材もありましたっけ。海の岩場にいる「カメノテ」も美味しいらしい。
 そこへいくと猫はことわざにもなる位しっかりとした手を持っています。「猫の手も借りたい」
 このことわざの意味は「とてつもなく忙しい」という事ですが、ではなぜ「猫」なのか。
 昔々、著しく経済発展を遂げていた江戸は日本橋のとある呉服商でのこと。それこそ主から番頭、丁稚まであまりの忙しさにグワッシャガシャと店の中を駆け回るようにして押し寄せる客をさばいておりました。ところがその様子を見ていた飼い犬がつられてハイテンションになって店の人だけでなくお客さんに飛びつきまわり商品をひっくり返すと大騒ぎ。困った主は奥の部屋で我関せずとゴロゴロしていた猫を店先に引っ張り出しました。するとあまりの騒ぎに驚いた猫は表へ飛び出すと柳の木によじ登りました。それを犬が見逃すはずはありません。ダランと垂れた柳の枝にかろうじてしがみついている猫に対してワワワンワン。猫は上へ上へと登ろうとしますがそこは柳の木。どの枝に飛び移ってももダラ~ン。それを見た犬はますますワワワンワン。こうして犬は1日中猫と戯れ店で悪さする事はありませんでした。またこの様子が宣伝となってその店はますます繁盛したとか。以来、あちこちで忙しい時は猫を店に、というのがはやったのです。
 ウソです。
 でもこのウソ話にしても本来の意味にしても「猫の手も」の手は前足をさすのではなく、猫そのものを意味しています。「~してもらう、手伝ってもらう」の意味です。やっぱり猫に手は無いのかなー。
 前足と後ろ足の使い方の違いは力を加える方向です。走っている場面で考えればわかりやすいですが、前足で地面を引き寄せ後ろ足でけり出しています。よって、地球の回転が速くなります。とはいかず猫が前に出ます。
 この使い方は走る時以外も同じです。たとえばケンカの時。前足は手前に引く方向で力を加えて引っかいたりしがみついたりですが、後ろ足は蹴りです。よって、足とはこの方向に動かす事のみに用いられるものであって、逆方向に使えばそれは手となります。あくまでも私個人の考えです。
 例えば、ビールがうまい季節。皆の前にこぼれんばかりの泡をたたえたジョッキが行き渡りました。ではカンパーイ。この時人の前足は押し出す方向に働いています。手です。戸を押し開ける。手です。物を投げる。手です。
 逆に後足が手となる場合もあります。
 プールの底から消毒薬を足で摘み上げる。この動きは手です。サッカー。手を使ってはいけません。でもボールを前に蹴るのは逆の動き。実は手を使うスポーツだったのです。ひっぱたくのは足の行為。殴るのは手の行為です。外国のノコギリは手で使いますが、日本の鋸は足で使います。あれっ、やっぱり変かな。 
 こう考えるとやはり猫に手はありません。いずれの動きも歩行と同じだからです。顔を洗っているそれも手ではありません。ぎこちない動きですが前足方向です。
 唯一猫が前足を手として使うのが「おっぱいふみふみ」と思われます。
 「おっぱいふみふみ」は赤子猫が母猫の乳の出を促す為にやっていると言われていますが、この動きは前足を引くのではなく押す方向に力を入れています。この癖が大人になっても残っていてマッサージ猫となるわけですが、実際に揉み解してもらうと結構押す力も強いものと感じます。これでしたら扉を押し開ける事など容易いと思われるのですが、それでも彼らは物を押すとき頭から行きます。せっかくいいものを持っているのにもったいない。「手を使え!」と思わず叫ばずにはいられないときもあります。頭を使え!と叫んでいる時もありますが、これはもう少し工夫しろ、という事。「まめてつ」が網戸を開けようとして見当違いのところをガリガリやってボロボロにしているのを見るとちょっとじれったくなります。
 じれったくなると言えば猫が身体を掻く時もそう思うことがあります。
 せっかくいい前足を持っているのになぜ窮屈そうな格好をしながら後ろ足で掻くのだろう。更に後ろ足が届かない所は舐めたり噛んだり。その頭のすぐそばでは前足が中に浮いている。手を使え~~~い。
 耳の後や尻尾の付根の背中(ここはついついお尻と呼んでしまいますが実際は腰ですよね)なんかよっぽど手の方が楽なのではないでしょうか。なにゆえ猫はかたくなに前足は足としてしか使わないのでしょう。
 そんなかたくなな猫にあってやはり「りら」は化け猫。手を使います。
 「りら」は下唇に炎症があります。上の牙が当たる部分です。何らかの原因で唇を腫らせてしまったのでしょうが、牙が当たるのでいつまでも治りません。いや治らないのはそのせいだけではありません。治りかけてくると痒いのかそこを掻いてしまうのです。ただし掻くのは前足で、それも引っかくのではなく押し出すようにして掻いているのです。手です。
 う~ん、「りら」は前足の作りが違うのかな。
 ちょうどすぐそばで丸くなっているので見てみましょう。
 え~っと、まず先端に指が4本。ちょっと引っ込んだところにもう1本……。あれ?無いぞ?もっちょっと良く見せて。グイ~~イッ。あれっ、これ後ろ足じゃん。
 では、改めて前足を。おっ、ちゃんと5本目があるな。しかし、その後ろにある出っ張りは何なんだ?何に使うんだい?しっかし毛だらけだな。イテテテ。爪出すな。
 「りら」はどうもこの5本目の指の爪を使う事によって前足を手としているようです。親指で引っかいているのですね。
 パッと見そっくりな前足と後ろ足の違いはこの親指があるかないか、それとその少し上にある出っ張りがあるかないかです。
 後ろ足の親指はどこへ行ってしまったのでしょう。よくよく触ってみてもその痕跡らしきものに当たりません。それと前足にあるポチッとした出っ張り。これは鶏で言うところの蹴爪?大熊猫にもそんな出っ張りがあってそれを利用して笹を掴んで食べているとか。大熊猫に出来るなら猫にもできるはず。りらさん、ちょっとネコジャラシを持ってみなさい。ムリか。
 本当は親指と呼んでいるそれが蹴爪らしいです。すると前足は戦闘用の足となるのかな。
 更にポチッとした出っ張りは手根球というものだそうで、本来はその先端にセンサーの毛があって、センサーというだけあってなにかを調べているらしいのだけれど、うちのネコたちのその先っぽには毛らしきものは無いです。特に「こてつ」や「まめてつ」はよくこの先っぽを怪我していてかさぶたになっているのですが、ぶつけちゃう様ではセンサーとして役立っていないですね。それにしてもどのような状態でここを傷つけてしまうのでしょう。ケンカの時かな?
 まあ、結局は猫には足はあっても手は無い、という事で落ち着きそうです。という事で無いものは借りられない、だから本当に猫の手も借りたいと思っても借りられないのです。
 あっ、1つだけ猫の手(足)を借りる場合がありました。それは年賀状。
 ネタに困ったら最後の手段。猫の手形でも押して済まそう。
 でも単純にインクを付けた手を押し付けても綺麗には押せません。正しいやり方は後ろ足を持って釣り上げて前足を葉書に着地させる。そうするとうまく行きます。た・だ・し……。
 ところで机などの脚に猫足という形があるけれどあれは前足なのかな、それとも後ろ足? 




猫足をスキャンしようとした人の手 


--第39号(平成20年8月3日)--

猫と鉄道 トップ → http://www3.yomogi.or.jp/skta1812/main/index.html

猫と鉄道  書庫  → http://www3.yomogi.or.jp/skta1812/syoko/syoko.html

 コメント(2)

アイコン0  
   
>1-指球 2-掌球 3-蹴爪球 4-手根球

プププという記事に感動!

こののネコちゃん 

いじり回されている感じ・・

♪~これも愛! ♪~いじるのも愛!・・ラララ~愛~♪

僕もやってやってみました

♪~これも愛! ♪~いじるのも愛!・・ラララ~愛~♪

愛ネコが プイと怒ってどこかに行ってしまいました  
2010/12/5(日) 午前 5:55 [ 老人とネコ ]

アイコン0  
   
猫はどんなにいじりまわしてもその場で怒りを発散して後に引かないところが好きです。
プイッと怒って出かけてもやがてよってきてゴロゴロ。
で、またいじり回しちゃいます。(笑)  
2010/12/5(日) 午後 4:44  NEKOTETU