<ж17ж 身の痩せる思い                             おまけ Vol 7>
ж 4 ж 北茨城                               
                    投稿日時2009/11/28(土) 午後 7:15  書庫展望ラウンジ  カテゴリー旅行

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関東地方と言われると平野を思い浮かべるがよく考えて見ると行政区的に分けられた関東地方には思のほかペッタリとした土地と言うのは少ない。本当にまっ平だな、と思えるのは利根川と荒川の中流域だけに思える。東京都などビルが建てこんでいてわかりにくいが山手線以西は結構山あり谷ありである。もっともその程度の山は丘であって平地と言えるのであろうがさすがに高尾を過ぎると山深くなり関東地方を抜けて甲州に入ったような気になる。
 この様に関東地方をぐるっと取り囲んだ山々にさしかかると関東地方を抜けて、例えば、信越線であれば信州に、上越線であれば越後に、と他の地方に入った気がする。東北線の場合ははっきりした山地へのさしかかりは無いが、これらの山々が間近に見えてくると東北地方に入った気がする。高速道路でも同じである。
 ところが、常磐線においてはちょっと違う。久慈川下流の平地を抜けて山間部にさしかかると関東地方を抜けたという感じはするのだが、さりとて東北地方に入ったという感じがするわけでも無い。
 山と海に挟まれた狭く使いにくそうな土地なのに多くの人々が暮らし、明るい様な暗い様な、せせこましい様なおおらかな様な、よく解らない地方である。
 山地が南北に続いているせいで日暮れが早い。日の短い季節であれば昼過ぎには山の中腹の民家は日陰となり、寒々とした雰囲気になってくる。ところが目線を反対側に向けるとそこには光り輝く太平洋の大海原が広がっていてなんとも暖かみのある土地に思えて来る。
 私はこんな北茨城が大好きでよく訪れるが、ここで言う北茨城は実際に茨城県最北にある北茨城市の事ではなく日立から福島県のいわきまでの海岸沿いの地域をそう呼んで出掛けて行くのである。

 さて、前置きがずいぶん長くなってしまったのでここら辺で出発しないと日が暮れてしまう。
 今回は車で一般道を北上してみよう。
 国道245号線で久慈川を渡ると目の前に山が現れる。関東平野との境目である。大きな魚屋がありその前に広がっているのは日立港だが、この港はすぐ先の日立で作られた機械などを搬出するための港で魚が水揚げされるのはすぐ北隣にある久慈浜漁港。
 港の入口を過ぎると道は海岸の高さから一気に断崖の上へと駆け上がる。坂を駆け上がった頂上付近で右手にちらりと見えるのが日立灯台で古坊池公園となっている。
 このあたりからは日立の市街地で家々や工場が立ち並び、道から海が見えにくくなりとてもその様には思えないのだが、その見えない海岸には久慈浜、河原子などのいくつかの海水浴場がある。
 海が見えにくい道ではあるが一部では断崖すれすれを行く所もあり、望洋台一里塚ロードパークからは足元の断崖の下から広がる太平洋を望む事が出来る。
 ここから40km程離れた金砂神社からの祭り行列の終点もこのあたりだがこの祭りの感覚からするとつい今さっき終わったばかりで、次回行われるのは2075年。見るのは難しそうだ。
 沿線に大きな工場が現れてくると日立電鉄の細い線路が寄り添ってくる。走っているのは昔丸の内線で使っていた車両で1両か2両でとことこと頑張っている。
 以前走っていた車両は古くて武骨なやつだったがそれに負けない程武骨でがっしりした姿をしているのがこの辺の歩道橋。
 昨今のさらっとしたスタイルのものと違って太い橋脚が道路脇から橋よりもずっと高くそびえ、そこに電車が通っても平気なぐらいの橋げたがかかっている。
 これは、この辺の人がやたらと重いのでこんな構造になっている訳ではなく、その下を通る物の為である。

 この辺りで作られた機械はこの道を使って先ほどの日立港から運び出される。時には発電所用の発電機などの超大型機械が搬出される事もあり、通常の高さの歩道橋ではこれが引っ掛かってしまう。さりとてうんと高く作ってしまうと渡る人が大変である。
 そこで大型機械が下を通過する時は橋げたを持ち上げられる様にした結果この様な姿になったのである。
 鮎川を過ぎると山の上に大煙突の名残が見える。かつては156mの高さがあり、遠くからもよく見えて、日立に着いたという実感が涌いたのだが1993年に倒壊してしまい高さが1/3になってしまったのは少し寂しい。
 国道の標識通りに進むと道はかくっと左に折れて国道6号に合流する。この辺りが日立市の中心部だ。
 日立という名は水戸の黄門様が「日の立ち昇るところ領内一」と言ったところから名づけられたそうだが、今では「交通渋滞領内一」となっている。
 日立市を突き抜けている道は常磐自動車道と国道6号の2つしかない。その為一般国道の6号線はいつも渋滞していてそのあおりで町中の主要な道も渋滞している。
 これを緩和すべく日立バイパスが建設中ではあるがまだ半分も出来ておらず、できる事なら町中の通過は避けたいところである。
 この部分だけでも高速道路を使ったほうが無難ではあるが、やはり高速代がもったいない。日立インターに至ってはそこで乗り降りするだけでインター使用料みたいな有料道路代を取られるのでなおさらである。
 そこで最近日立南太田~~日立北間相互利用の場合に限って高速代半額という実験を行った様だがいかがなものであったのか。
 街中をじりじりと車は進む。

 やがて、かみね公園の入口に差し掛かる。ここは山の上の公園で日立の町並みと太平洋が一望でき、遊園地や動物園が有るが、車で行く時はそれぞれの駐車場への登り口が違うので注意が必要。
 ここに用事が無ければその手前から作りかけのバイパスへと向かえばよいのだが、その道がよく解らない。
 地図で調べようとしても狭い土地に主要機関などが密集していてそのマークで道が隠されてしまっているし、またなぜか多くのロードマップで日立市街地付近は「○○ページ右下」と太平洋の真中にぽつんと描かれていてあっちこっちのページをめくらないと道路が続かないのだ。
 すったもんだしながらバイパスに入るとこれがとても気持ちの良い道。崖下の海岸線を行く道で海の眺めがすばらしい。
 海から眺めれば、せっかくの海岸線にこんなものを作って、と風景を台無しにしているものでは有ろうが、そう思わせる程に先程とは逆にこの上に町があるとは思えないような所を行く。
 公設市場の所で旧道と合流。この辺まで来れば6号の渋滞も緩和されている。
 その先はゆるく登り降りしながらの海とはほんの少し離れた海沿。
 川尻の海水浴場入口を過ぎ、そろそろまた海が見たいな、と思うとすぐが小貝浜緑地。
 国道から右へ折れて狭い道を少し進んだ、突き当たりが駐車場。すぐ目の前に海がある。
 

 といったところで夜になって(紙面が尽きて)しまいました。
 続きはまた次回に。
 でもペースをあげないと2泊3日になってしまいそう。


--第17号(平成15年12月6日)--

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