海に着くと4人は早速海に入って遊んだ。今年も永嶋の水着姿はまぶしい。(あと石川ちゃんも。)しかし今年の彼には去年のようなやましい目で見る余裕は(ちょっと位しか)なかった。あと数時間後には永嶋と二人でこの海を見つめていることだろう。そして…、そのことを考えるといても立ってもいられなかった。そして時間は過ぎ、すでに日は落ち始めていた。
そして運命の時がやってきた。
「ねえ、ちょっと二人でジュースでも買いに行こっ!」
思いがけない永嶋からの誘い。彼は戸惑いながらも彼女についていった。そしてコンビニで4人分の飲み物を買い、夕暮れの海岸通りを2人で歩く。袋を持つ手に永嶋の手がそっと触れる。そして彼の手を握るとうつむきながら、そしていつものようにとろけた声でこう言った。
「私、あなたのことが好きになっちゃったみたい…。今度は2人きりで会いたいなぁ…。」
…。決して夢オチではない。正真正銘の事実であった。ただその相手が「蛯原」であることを除いては。
その10分前、永嶋がどこかに行くのを木村が見逃すわけがない。当然後をつけてみる。なぜか石川も一緒に。そして買い物が終わったあとの2人を電柱の影から見ている木村は、蝦ちゃんもっと離れろよ、なんか近くねぇ?、何楽しそうに話してるんだろう、などとブツブツ言っている。もはや立派なストーカーだ。石川は、ホンットに小さい男だなぁこいつ…とあきれてその姿を見ていた。そして2人の会話に聞き耳をたてて聞いていた木村(と石川)の耳に思いがけない永嶋の一言。彼の心は真っ白に燃え尽きた…。石川は笑いをこらえるのに精一杯だった。
つづく