インフルエンザのワクチンは、卵の卵白や卵黄そのものを使って製造されるわけではありません。
卵が発育すると鶏の赤ちゃんのもとになる胚と、羊膜腔と尿膜腔という袋ができます。
この尿膜腔というところに流行が予測されるインフルエンザの株を接種培養、増殖させます。
そこから得られる漿尿液から精製・濃縮したウイルスをエーテルで処理し、副反応の原因と考えられる脂質成分を除去、更にホルマリンで不活化(病原性をなくすこと)したのがインフルエンザワクチンです。
昔は精製技術が進歩していなかったために卵由来の成分が残存し、これによる卵アレルギーの副作用がごくまれに起こりました。
近年は高純度に精製されているのでほとんど問題となりませんが、重篤な卵アレルギーがある場合、例えば鶏卵を食べてショックを起こした人などは、接種を避けるか、注意して接種する必要があります。
ワクチンに安定剤として含まれていたゼラチンに対するアレルギー反応(アナフィラキシーショック)が報告されていましたが、現在、インフルエンザワクチンを生産している4社からの製品にはいずれも、ゼラチンはふくまれていません。
