スローライフ~第八章:自由な君へ…… 08 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

 目が覚めると自由はそこにいない。
 僕はゆっくりとリビングに向かった。
 するとトーストをかじりながら自由がつぶやく。
「もー
 アキラ先輩、ロペより目立っちゃめーなのよー」
「自由自分でトーストを焼いたの?」
「うん。
 トースターでチンしたよー」
「そっか。
 自由、成長したね」
「うん!
 日々精進だよー
 んっとねーパパのぶんもあるよー」
 自由が笑う。
 僕は、自由がはじめて作ってくれた料理だ。
 大事に食べよう。
 僕は、そう思ってもうひとつのお皿の上を見た。
 なんだろう?この黒い物体は……
「これはなに?」
 とりあえず、質問してみた。
 答えはわかっているけれど……
「ダークマター」
「なにそれ?」
「黒い食べ物だよ。
 ちょっと暖め過ぎちゃった」
 自由がケラケラと笑う。
「ちょっとどころじゃないよね?」
「黒いトーストも美味しいよー」
 僕はとりあえずトーストをかじってみた。
 やっぱりこのトーストは、苦かった。
「苦いよ自由。
 それにとっても体に悪そうだ」
「パパ?良薬口に苦しって知ってる?」
「え?ああ。うん」
「苦いものは薬なんだよー」
「そうだけど使い方間違っているよ。
 良薬口に苦しってのは、身のためにになる忠告は、例えつらくても素直に聞き入れなさいって意味だよ」
「……へぇー」
「ってか自由、その言葉は何処で覚えたの?」
「んっとね。
 百道にーちゃんが、たこ焼きパーティーの時に言ってたよー」
「そっか」
「うん」
 いつもの日常いつもの平和。
 それが今日も続くと思っていた。
 でも、それは音を立てるように崩れた。
 自由が、そのままウトウトと眠りにつく。
「自由、ご飯食べながら寝るなんてお行儀が悪いよ」
 僕は、そう言って自由に近づく。
 自由の様子がおかしい。
 すぐにわかった。
 ぐったりとしている。
 僕は、そのまま父さんの病院へと自由を抱いて連れていった。