自由は、海夜さんにべったりだ。
「海夜ねーちゃん、関西弁もっと教えてー」
「かまへんよー」
そして、翔太くんは百道くんにべったり。
「百道にーちゃん。
どうやったらケンカが強くなれる?」
「毎日トレーニングすることだな」
翔太くんは、首を傾げている。
「トレーニングってなに?」
「訓練のことだ」
滋くんがかわりに答える。
「くんれん?」
翔太くんには、まだ訓練の意味はわからないようだった。
「特訓だな!特訓!」
百道くんがそう言うと翔太くんがニッコリと笑う。
「あ、仮面ライターがね。
秘密の特訓をして強くなったんだよー」
「ああ、そうだ。
そうだぞ!ヒーローも特訓で強くなるんだ。
ヒーローの中の人もそれで強くなっている」
滋くんが、そう言ってうなずく。
ってか、あれ?中の人?今、滋くんが中の人とか言った?
「まて、滋。
仮面ライターの中に人はいないぞ?」
百道くんが、フォローをする。
だけど、そういうことに疎そうな滋くんは引かない。
「何を言っているんだ?
百道。あの中には――」
滋くんがそこまで言いかけたとき翔太くんがニッコリ笑う。
「百道にいちゃん、知らないのー?
仮面ライターの中には、村下春樹っていう作家が入っているんだよー」
「え?」
翔太くんの言葉に百道くんが目を丸くさせる。
「村下春樹が、変身帽子を被って変身すると仮面ライターになるんだよー」
「そ、そういうことか」
百道くんは、安堵のため息をつく。
「村下春樹……
そんなに強いのか?」
滋くんの目が少し輝く。
「うん!
悪の組織ショックの怪人を倒すんだよー」
「……それは、強いなぁー」
百道くんが、出来る限りのフォローをする。
翔太くんの夢を壊さないように……