ニートライター亜金の事件簿・改~第九章:はじめてのお仕事06 | ニート脱出大作戦β

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~ニートから抜け出す108の方法


亜金は、玉藻を探した。
しかし、どこをどう探せばいいかわからない。
亜金は、神社の中を走り回った。
亜金の携帯が鳴る。
セバスチャンからだった。
亜金は、電話に出る。
「大樹という青年確保ですぞ!」
「あ、ありがとう」
「玉藻さんは、確保できましたか?」
「うんん。
 クララって女の子に足止めされて……」
「絶対王政の能力者ですね」
「うん。
 でも、それは吾郎さんがどうにかしてくれた」
「そうですか……」
「他の皆はどうしてるんだろう?」
「雑魚たちも沢山侵入しているので、そちらの討伐を任せていますぞ」
「そっか……
 侵入者は、沢山いるのか……」
「そうですぞ」
「じゃ、玉藻はもしかしたら他の場所に連れていかれた可能性も……」
「あるでしょうね」
セバスチャンが、低い声で言う。
するとクララが亜金の後ろに立つ。
「クララ……?」
亜金が、クララの方を見る。
すると吾郎が、薫と由香も連れて現れる。
「クララちゃんが、亜金に話があるようだ」
「え?なに?」
「あの……
 玉藻って人、きっとあそこにいるですわ」
「あそこ?」
「うん、橘邸」
「え?」
「さんかく山にあるの……」
「さんかく山?」
亜金は、首を傾げる。
「さんかく山は、さんかく山ですぞ!」
セバスチャンが、電話の向こうでそう言った。
「どこ?
 俺、その山しらない……」
「なら、俺が案内する」
亜銀が、そう言って現れる。
すぐ近くには千春もいた。
「あ、助かる!」
亜銀は、下っ端と思われる男を投げ飛ばす。
「では、ここは私どもに任し亜金様たちは、玉藻を追ってください」
セバスチャンは、そう言って電話を切った。
「私も行きますわ」
クララがそう言うと亜銀がクララを睨む。
「お前を信用しろというのか?」
クララは、そう言って泣きそうな目になる。
「大丈夫だよ」
亜金が、そう言うとクララの頭を撫でる。
「大丈夫という根拠は?」
「ニートの勘かな」
「一番信用できない勘だな」
亜銀が、ため息をつく。
吾郎が、笑う。
「若いっていいな」
「え?」
「とりあえず道を出よう。
 車をすぐに用意する」
吾郎が、そう言ったので亜金たちは山元神社を出た。
そして道に出ると吾郎は指をパチンと鳴らした。
すると一瞬で車が出た。
「愛車のウイングウェィだ」
「車を出したのか?」
亜銀が目を丸くさせて驚く。
「僕の能力は、自由にモノを出し入れすることができるんだ。
 さぁ亜金君、亜銀君、クララちゃん。
 玉藻ちゃんの救出頑張ってね」
「吾郎さんは行かないのですか?」
亜金が吾郎に尋ねると吾郎は苦笑いを浮かべた。
「子供たちをここに置いて行くわけには行かないからね。
 それにウイングウェィは、5人乗りなんだ」
「じゃ、子供たちも連れて……」
「帰りに玉藻ちゃんを入れると重量オーバーにならないかい?」
「あ……
 そうですね……」
「おい!
 早くしろ!今からベルゼブブの拠点に殴り込みをかけるぞ!」
既に運転席に座っている亜銀が、亜金に言うと亜金たちはすぐに車の中に入った。
そして、亜銀は車を発進させた。
「で、玉藻をさらったヤツの名前はわかるか?」
「月六って呼ばれてたよ」
「稲妻の月六か……」
「知ってるの?」
「アイツは、能力さえなければ普通のおっさんだ。
 戦闘能力は低いはずだ」
「え?
 滅茶強かったよ?
 素早いし……」
「脳内信号を雷の速さで伝達している。
 あれは、体に負荷がかかるから長期戦には向かん。
 長期戦に持ち込めば倒せるはずだ。
 厄介なのは、黄河大樹だ。
 アイツのボマーは――」
亜銀がそこまで言いかけると亜金がニッコリと笑う。
「大樹って人は、セバスチャンが倒してくれたよ」
「そうか……」
亜銀が、頷く。
「そろそろさんかく山よ、結界があるから気を付けてることですわ」
「気を付けるってどうやって?」
亜金がクララに尋ねる。
するとクララが胸を張って言葉を放つ。
「結界よ、私たちを通しなさい」
クララがそう言うと森の中が一気に明るくなる。
「これは?」
「ここから先が、ベルゼブブ本部よ。
 勤や月六がそこにいると思う」
クララが静かな口調でそう言った。
「ここからは、歩いた方がよさげだな」
亜銀が、そう言って車を止めた。
「どうして?」
「車を発見されれば帰りの足を無くしてしまう。
 それは、厄介だからな」
「あ、そっか……」
「ここからだと3キロ先に屋敷がありますわ」
クララが、そう言って先頭に立つ。
「わかった」
亜金が頷くと亜銀と共にクララのあとに続いた。