ニートライター亜金の事件簿・改~第七章:MTTミンナの事情07 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法



――15分後

クララにより動きを止められていた亜金たちは、その場で崩れ落ちる。
「動けるのか……?」
最初に声を出したのは玉藻だった。
「そのようだな」
啓司がゆっくりと立ち上がる。
「あの技はなに?」
亜金が、御幸に尋ねる。
「さぁ……
 絶対王政って言っていたね。
 恐らく一種のチャーム系の能力だろう」
御幸がそう答えると直美が清の元に走る。
「お爺ちゃん!」
清は何も答えない。
「もう亡くなっているみたいだ……」
吾郎が小さく呟き直美の頭を撫でる。
「そんな……お爺ちゃん」
直美は、泣き崩れる。
「今すぐこの場を離れるぞ」
啓司が、そう言って清の遺体を持ち上げる。
「そうだね……
 なんか、その方がいい気がする」
亜金は、そう言って頷くとその場を走った。
それに続き他の人も走る。
吾郎は、直美を抱きかかえ……

――詩空邸

「ここまでくれば大丈夫だね」
御幸は、そう言ってソファーに座る。
「そうだね……
 とりあえずみんなゆっくりしていってよ」
亜金が、そう言うと玉藻が立ち上がる。
「待ってろ今、茶の用意を……」
玉藻が、そう言って部屋を出ようとするとひとりの老人が現われる。
「玉藻、そんなはしたないの姿で街を歩くなどはしたないですぞ?」
老人は、そう言って玉藻の体に手を触れると乱れた服が一瞬で綺麗になる。
「セバスチャン……?」
玉藻が、目を丸くして驚く。
「このセバス、乱れを少しでも許せない為……
 玉藻の服を綺麗にさせていただきました」
「あ、ありがとう」
玉藻は、小さな声でお礼を言った。
「そして貴方……」
セバスチャンは、直美の方を指さす。
「え?私?」
直美が目を丸くしている間にセバスチャンは直美の体に手を触れる。
するとあっという間に直美に服が着せられる。
「この人誰だい?」
吾郎が、御幸に尋ねる。
「この人は滝川 セバスチャン。
 亜金の家の執事さ……
 悪い人じゃないから安心していいよ」
御幸が、苦笑いを浮かべている間に御幸の服が綺麗に整えられる。
そして、亜金以外の服が綺麗にされる。
「セバスチャン、俺の服はー?」
亜金が、涙声でセバスチャンにそう言うとセバスチャンは、ニッコリと笑う。
「それは私の仕事ではないですぞ?
 玉藻の仕事ですぞ」
玉藻が、我にかえると部屋を出ようとする。
「玉藻……」
セバスチャンが、玉藻を呼び止める。
「はい」
「亜金様をお忘れですぞ?
 2時間くらいここで待っているので安心して亜金様のおもてなしをするのだぞ」
「2時間?」
亜金が、首を傾げる。
「傷ついた男のプライドは、その女が癒すのが常識ですぞ」
「私は、亜金の女ではないですよ?」
玉藻が苦笑いを浮かべる。
「メイドと主人とのいけない関係。
 私セバスは、考えるだけでウキウキなのですぞ?」
「セバスチャン……
 あんま玉藻をいじめないで上げてください」
「かしこまりました。
 お茶の用意は私がしますので、おふたかたはごゆっくり……」
セバスチャンは、そう言うと亜金と玉藻を部屋から出した。
残されたメンバーは、セバスチャンから紅茶を貰うとゆっくりと落ち着きを戻した。