この子13~第十章:不幸を喰らう13 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法


「ああん?」


式髪が亜金を睨む。


「ほら……
 雨が降って来たよ」


亜金が、ゆっくりと静かに言った。


「それがどうした?」

「アロー……レイン……」


亜金が、そう言うと式髪の周りにいたモンスターたちが次々と消えていく。
雨が、鉄の矢に変わった。
降り注ぐ鉄の矢は、モンスターを消していく。


「な、何をした……?」


式髪が、目を丸くさせて驚く。


「さぁ?
 何をしたと思う?」

「答えろ!
 何をした!」


式髪が、そう言ってモンスターを再び召喚した。
しかし、召喚された直後にモンスターは消滅していく。


「無駄だよ。
 この鉄の矢の雨は、無限にモンスターを傷つける。
 さぁ、はじめよう。
 終劇の始まりだよ」


亜金が、そう言ってアローレインの雨の幅を広げた。
少しずつ少しずつ少しずつ、その雨は式髪に近づく。


「や、やめろ……!」


亜金は、何も答えない。


「やめろーーーーー」


式髪は、亜金に背を向けて逃げるが、迫る雨の方が早かった。
式髪は、アローレインによりダメージを受けそして戦闘不能になる。


「終劇の終わり……
 いずみさん、出て来ても大丈夫ですよ」

「あなた……
 こんなに強かったの?」


いずみが、驚く。


「俺に触れようとするモノ全てを武器に変える。
 それは、自然さえも操れるんだね……」

「……その言い方、思い付きで出した技なの?」

「うん」

「恐ろしい子ね……」

「糞が!糞が!糞が!」


式髪が、亜金を睨みながら呟く。


「まだ、死んでいない?」


いずみが、鎌を構える。


「殺さなくていいよ。
 放っておいても逃げれないから……」

「どういう事?」


いずみが、亜金に尋ねる。


「だって、俺が降らせたのは特殊な鉄の雨……
 服に付着した雨は、かなり重いはずだから」

「そう……」


いずみは、鎌を収めた。


「今度は、無君と後藤君を助けに行こう」

「わかったわ」


いずみは、頷いた。