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ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

2013年02月17日



日曜日、曇り。



目が覚めると俺が居たのは白い天井に白いカーテン。

そして、白い壁に覆われた部屋だった。



簡単に言うと病院の部屋だ。





俺はゆっくりと体を起こす。





「亜金、起きたか……」





啓司が、そう言って部屋に入ってくる。

そして、啓司の後ろには、男の子と女の子が傍にいた。





「啓司か……?

 俺に何をした?

 その子たちは……?」



「まず順序に沿って質問に答えよう。

 俺はこの子に亜金と玉藻ちゃんの意識を飛ばすように指示した」





啓司は、そう言って男の子の頭をなでる。

そして、言葉を続ける。





「んで、この子たちは、お前の先輩。

 つまり特務捜査官のメンバーだ……

 俺は、この鳶(とび)に命令し、鳶の能力、ファイントにより亜金の意識を飛ばしてもらった」



「なんのために?」



「それは、この未来(みく)の能力、イフによりあのまま亜金と玉藻ちゃんが、あの場所に戻れば2人は確実に死んでいたからだ……」





そう言って、啓司は女の子の頭をなでる。





「玉藻は?」



「今は、夕貴さんと一緒に昼食を食べている」



「そうか……」





俺は、少し安心した。





「怒らないのか?」





啓司がきょとんとした表情で俺を見る。





「何を?」





俺は、ため息交じりに聞き返した。



「俺たちは、お前を……

 いや、なんでもない」





啓司は、あまりにも申し訳なさそうな顔をして謝るので、俺の中の怒りなんて吹き飛んだ。





「構わないさ。

 今、冷静になって考えれば、わかる。

 俺と玉藻だけではあの火蛾には、勝てない」



「火蛾?」





啓司が首をかしげる、





「あの放火犯の名前……

 自称だけど、火蛾 達磨って名乗ってた」



「そうか……

 捜査資料に加えておくよ」





啓司が、真面目な表情で頷いた。





「ああ……

 あの病院の被害は?」



「死者120人、負傷者3500人、行方不明者30人だ」



「凄い被害だね……」



「ああ……

 目的もわからない」



「たぶん、恋次を解放しないともっと酷いことになるってことだろう」



「だからと言って、恋次を奴らに返すことはできない」





啓司が、しっかりとした表情で俺を見る。





「俺も同感だ」





俺も頷いた。