まおうのえにっき:七話 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

万桜は、カレーがこぼれない様に気をつけながら、

管理人の部屋のチャイムを鳴らした。

管理人の名前は、大神ミカ、昼間であったかみさまの姉で、

地上で神をやっている。


『はーい』


万桜の声が、かすかに聞こえる。

そして、足跡と共に、ドアが開いた。


『あら、万桜ちゃんやん。

どないしたん?』


『ちょっと、作りすぎたのでお裾別けです。』


ミカが、笑顔で迎えてくれた。

そのミカの後ろで尊がカレーをじーっと見つめ、


『これは何と言う食べ物だ?』

尊は横から顔をひょっこり顔を出し呟いた。
万桜は、ニッコリと笑い

『カレーだ。これ私の得意料理なんだ。』

しかし、尊は眉間にしわを寄せた後、

『ほう、辛いのか・・・
 して、料理名は??』

万桜は噴出しそうになるのを堪えながら

『料理名をカレーと言うのだ。
 確かに辛いが、自身はあるぞ?』

ミカは目を丸くして『アンタ、カレーも知らへんの??』

『私は、白い飯と生野菜しか知らぬ・・・』

『そっか。そうなんやったな・・・』

ミカは小さな声で、呟いた。
万桜は、『私は、そろそろ失礼しますね』

そう言って、部屋を後にした。


万桜は自室に戻り、カレーを食べながら呟いた。


『神のやつ、カレーを知らないようだったな・・・

そっか、奴は供え物しか食せなかったのだな。

今度、また何かを持って行ってやろう。』


万桜はテレビをつけ、ひと時の休息を楽しんでいると

万桜の携帯が鳴った。


【非通知着信】


万桜は不思議に思いながらも電話に出た。


『私だ。』


万桜は、一瞬驚いた。

電話の主は兄のサタンだったのだ。

万桜は返事も出来ないままでいると、

そんな事等お構いなしでサタンは言葉を続けた。


『困った事がおきた。

はぐれ神やはぐれ鬼が、そっちの世界の一人の少女を狙っているのだ。

神本部からも、通達が来て、お前に護衛を頼みたいそうだ。』


そして、電話は切れた。

自分勝手なサタンの行動に万桜は、もう慣れていたので

腹は立たなかったが、護衛する少女の名前もわからないのでは

守れない事に、苛立ちを覚えた。


『名前も素性もわからないのでは、どうする事も出来ないではないか・・・』