モテない男~一話 | ニート脱出大作戦β

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~ニートから抜け出す108の方法

彼女と出会ったのは23ヵ月前、土砂降りの雨の日だった。

傘を忘れて、会社の前でぼやいて居ると彼女の方から声を掛けててくれた。

「よろしければ、途中まで、入っていかれますか?」

「よろしいのですか…?」

「はい、どうせ駅まで同じですし」
彼女のその優しい笑顔に一瞬ドッキとした。

でも、俺はこの人の事など全く知らなかった。
どうして、俺が帰る駅を知って居るかなんて全く気にもならなかった。
俺の中にあったのは、
春到来?
初彼女?
モテ期到来?
さらば、さくらんぼ~♪

そんな不純な考えでいっぱいだった。

しかし、現実は甘くなかった。

彼女は愚か、女の子と喋ったのは10年前の中学の卒業式依頼だ。

しかも、その最後の会話が、「おはようございます。」

世間一般では、あいさつと言われて居るが、俺はこれ以上の会話なんてした事がなかった。

そんな男がサラサラヘアーのロングヘアーの優しそうな女性に声を掛けられたらどうなるか…、
しかも傘に入らないか?と聞かれたら…

【もしかして、この人俺に気がある?】

と思うに違いない…

違う、あり得ない、間違いだ。

心と頭と体で分かって居るはずなのに、

心の奥底で悪魔の囁きが聞こえる…
いろんな妄想が飛び交う…

そう、そして…

『駅、着いちゃいましたね…』

『あ…』

『今日はお疲れでした?
また、今度ゆっくり話をしましょうね♪』

『あ、はい。
今日はありがとうございました。』

俺は知って居る。
経験した事は無いが本能が言って居る。

女性の【今度】は
永遠にやって来ない確率が約25%(当社比)…

俺の場合、持てない属性のお陰で、
+約75%…

つまり、約100%やってかないのだ…

俺は遠ざかって行く
彼女を見送りながら、
さらば青春…
こんにちはさくらんぼ…

と心の中で呟いた…

夏が来た。
俺温暖化現象により春がこない事が
脳内ニュースで、流れた。

俺は溜め息を一息つくと、

電車のホームに向おうとした。

すると、先ほどの女性が走って戻って来た。

『これ…私の…のメアドなんで…受け取って…ください!』

『あ、ありがとうございます!』

彼女は息を切らせながらメールアドレスを渡してくれた。

再び脳内臨時ニュースが流れた…

心に春がやって来たと…

モテない男が女の子に声を掛けられたら
みんな、こんなものだ…