真夏なので恐怖体験:女の手 | ニート脱出大作戦β

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~ニートから抜け出す108の方法

寝苦しい夜・・・

暑い夜・・・

俺は、いつもと同じように、

扇風機の風をフル回転させて、

ベットで眠っていた。

やっと寝付けたのは何時だろう?

眠りにつけたのは何時だろう??

今はもう眠っている?

それとも夢??


その日はいつになく静かな夜だった。

その時、俺は確かに眠っていた・・・

やっと寝つけてたのだ・・・

しかし、俺は何かにより起こされた・・・

小さいけど、耳障りな音。

耳を澄まして聞いてみると。。。。


キリキリ・・・キリキリ・・・キリキリ


虫?雑音?どこか懐かしい音・・・

小学校の頃、夏休みの自由研究の時に、

工作で椅子を作ったことがある。

その時に、木に桐で穴を開ける事が何度かあった。

その時に出た音に感じが似ている。


それでも、俺は再び眠るため目を閉じた。


キリキリキリキリ・・・

キリ、キリ、キリキリキリキリ


少しずつその音が大きくなってくる・・・


キリキリキリキリ・・・キリ・・・


一瞬、音がやんだ。

視線を感じる・・・

誰だろう?

気のせいか??

人間って生き物は不思議なもので

どんなに眠たくても、一度気になったら

気になって、気になって、眠れなくなる。

俺はゆっくりと目を開ける。


【泥棒とか強盗ではありませんように・・・】


心の中で祈った・・・


目を開けると、そこには何もなかった。

横になったまま、辺りを見渡した。


【よし、なにもいないな・・・】


そう、思って安心した・・・

ほんの一瞬だけ安心した・・・

だけど、またあの音が聞こえてきたのだ。

いままでよりも、早く

いままでよりも、強く


キリキリキリキリキリキリキリキリキリ。


何か急いでいるようにも聞こえる。


キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ・・・・・


だんだん強く、だんだん大きく。


それに合わせて、俺の心臓も鼓動が早くなる・・・


俺は耳を頼りに、その場所を目で探した・・・

自分が眠っている正面。

何か違和感がある事に気づいた。

何か一本の線のようなものが見えた。

天上の模様でもなく、

天上の亀裂でもない。

天上より少し手前。

自分より少し離れた場所・・・

そこに、その一本の線があった。

俺はそれを確かめる為、目を細めた。

すると、その線は俺の視線に気づいたのか、

ピクリと動いた。と思うと先程の【キリキリ】と言う音が消えた・・・

線が輪に変わる・・・

輪の真ん中は少し赤い感じがする・・・

ゆっくりとその輪は広がり・・・

ある程度開いた後、一瞬で大きくなる!

それは、目だった。

大きな大きな大きな目・・・

人間で白い部分にあたる場所・・・

そこは赤く、黒い部分にあたる場所は黄色かった・・・

体は・・・・動く・・・・

でも、逃げれない・・・

小動物が凶暴な肉食動物と目が合った瞬間

まさに、そんな感じだった。

震える俺の腕、

震える俺の体・・・


それに反して俺の心臓の鼓動が増すばかり・・・

俺はどうなるんだ?

不安と恐怖に震える中、

布団の中に何かが入ってくる感じがした。

ふんわりと優しい感じ・・・

そして、ひんやりとした何かが俺の手を優しく握った。

手を握られることで、俺は初めてそれが手だと言うことに気づいた・・・

その手は、ゴツゴツしていなく、どりらかと言うとサラサラした感じの手だった。


【女の人?】


俺は、何故だかとっさにそう感じた。

その手は、冷たいながらもどこか優しかった・・・


【俺があまりにも震えているから誰かが手を握ってくれたのかな??】


俺は何故だかそう思っていた・・・

目の前にある巨大な目への恐怖もその手のおかげで不思議と感じなくなっていた・・・

しかし、俺は気づいてしまった・・・


今居る部屋にそんな事をしてくれる人が居ない事を・・・

今居る家にそんなことをする人が居ない事を・・・


何故だか、忘れてしまっていた・・・

何故だか、気づけなかった・・・


俺は、その手の主が気になって気になって仕方がなくなってしまった。

俺はそのまま目を横にやった。

俺の隣に誰かが横になっている。

じっと横になってこちらを見ている。

髪が長い女性だという事が暗いながらもわかった。

じっとこちらを見ている。

俺も体を横にして、その主を確かめようとした。

すると、その女性は少し笑ったように見えた。

その女性と目が合った。

不思議と怖くはない・・・

だけど、体が動かない・・・

金縛りのようだが、息はきちんとできる・・・

その女性は口をパクパク開いている。

何かを言いたそうにしているが、

これが聞こえない・・・


パクパクパクパクパクパク


必死で何かを伝えようとしている・・・

暫く、その様子を見ていると、


キリキリキリキリキリキリ


と再び聞こえてくる・・・


髪の長い女の人の体が近づいてくる・・・

俺の顔と女の人の顔がくっつく位に近づいたとき・・・

その女の人は俺に向かい、こう言った・・・


『バカー!!』


その声はバカにしている言い方ではなく。

どこか怒っている感じがしていた・・・


女の人は俺に『バカー』と言った後、

姿を消した・・・

その巨大な赤い目と共に・・・

俺はその後、眠りに付くことができず・・・

そのまま、次の日を過ごす事になった・・・


あの女の人は俺に何を伝えたかったのだろう???

あの巨大な赤い目はなんだったのだろう???

恐怖とはまた違うものが心に残っている・・・

大切な何かを忘れてしまったような感覚・・・

まだ、あの女性が言いたかった事はわからない・・・

いったい、何だったのだろう???

俺のこの手にはまだ残っている・・

あの冷たくも暖かい手の感触が・・・・