これは思い出話のひとつで、今年の話ではないのですが、
大雪ていうとこれを思い出し、心がポッと暖かくなるので、
書いて皆様にも心のあったまるおすそわけできればと
思います。


いまからかなり前に、とてつもない豪雪が東京を襲来した
夜があったんだよね。 
 もちろん雪に弱い東京の交通網は全面麻痺状態ですよ。
 JRは早々とストップ、ぎりぎりまで止めない西武線は
脱線しかかってやはりストップ。



 そうして真夜中が過ぎても雪はこんこんと降り続けてました。
千之ナイフ の仕事場は山場をむかえていたので、これはもう
ここで仕事を進めつつ夜を明かそうと。
そんな覚悟を決めて一同仕事に打ち込んでいたわけです。


そういう時、台風とか大地震の後もそうですが、チャンネルを
NHKにしとくと結構いいBGVになるんだよね。
 そこはかとなく安易なBGMが流れるし、重大な情報や
最新の情報がテロップで流れつづける。


 そしてその夜のテロップは各地で大雪注意報が出されて
いることを告げ続け、画面は、定点カメラで雪降りしきる銀座
数寄屋橋 交差点を映し続けていたとおもってください。
 もちろん車一台も通らず、ひとっこひとり居なかった…


とおもっていたその時。

 画面向こうから、男が雪の中傘をさして歩いてきたんだよ。
そして、橋の中ほどまでくると、おもむろに傘を置き、
全力で踊り始めたんだよ。


でたらめな踊りがしばらく続きました。
 もちろん仕事場は大笑いですよ。「こいつスゲー!!!」
「まだやってる」「気づいてないぞNHK」


男はさんざん踊りまくり、そして満足したかのように傘を取り、
もときた道を去ってゆきました。


 その間、十分くらいだったですかねぇ。
でも永遠ともとれる長さだったかもしれないです。


 男は、たぶん数奇屋橋の近くに住んでたんでしょうね。
それで、定点カメラでそこが映りっ放しになってるのに気づいて、
大雪の中、自分がふと考えてしまったプランを強行したの
でしょうね。


 何の意味もないし寒いだけかもしれないですが、そういう
全力で馬鹿やる人は、私にはポイント高いです。


いまでも雪が降ると、数寄屋橋の踊りを思い出します。

今週水曜日から面白い人を観察しています。
縄師村川
英吉利に住むアーティストで、縄師をやっている人だ。


きっかけは、SM投稿誌マニア倶楽部のサッちゃんから、
この人がまた日本に来ているということを聴いて、
編集部に遊びにいったとこから。

 外国人で、縄師を名乗る人は、ここ昨今わりといる。
たとえばフィリピンのイベントにPSYDOLLで参加したときも、
ロープポンテージがあって、女の子がマスク姿のおっさんに
ぐるぐると吊られ縛り上げられてた。
(フィリピンは治外法権の国なので、女の子は未成年w)
Jカルチャーが注目を浴びるようになって、縛りの文化も
海を越えて育ち始めているのだ。

 縄師の定義は面白くて、ロープとか紐をつかんで
「今日から縄師になる」と宣言すれば、その人はそれからはもう
縄師になる。 
師弟制度があるわけでもなく(関わる人の人口が圧倒的に
少ないからだと思う…師匠について学ぶ人もいますが)、
生け花や習字みたいに流派があるわけでもないけど、
ただ言えてることは、

女を人前で縛る人には、女を縛ることへの美学がある。
ということ、それだけで・・・・・

それで、この縄師、村川は、かなり面白い人だ。
まず、格好が完璧日本のワビサビを採り入れたジャパネスク
なんですよ。着物じゃないんだけど無国籍風の洋風着物。
身長180くらいあるスキンヘッドで、そういう服なので、かなり似合
うんだけど、宗教は神道で、日本の歴史をも理解し、周囲の
日本人よりも知っていたりする。
 名前も村川。それは縄師ネームで、本名は違うけど。
四国でおへんろさんをやったこともあるらしい。

 と、ここまで書くと、ただのベタな日本文化おたくの変な外国の
人みたいですが、村川さんが違うのは、本人の一生のお仕事
であるアーティスト活動の一環として、日本というキーワードを選び、
アーティスト活動として女を縛り、作品の記録として縛りの
スケッチや写真を残したりするということ。
 日本に定住せず、イギリスから日本を感じつづけているということ。

日本に取り込まれたわけではない。日本を取り込んでいる。
それを村川さんを通して感じたし、海外の文化に影響を受けて
発展していくアーティストとしての、海外との関わり方を学んだ
気がする。

アーティストとして生きる、というやりかたも、日本にはあまり
根付いていない気がするのです。
日本でアーティストというと、絵画を描く○○さん、とか、
CGアーティストの○○さん、とか、バンドをやっている○○さん、
みたいに細分化された状態で発表されたり、当人が最初から
細分化した状態で入ることがほとんどじゃないですか。
 海外は、アーティスト○○、ということで、例えば絵画やったり、
CGアートやったり、バンドやったり…手段はいろいろかわるけど、
あくまでも手段であって、アーティストは本人を売っている。
お客さんも作品を通じて本人を追っていて気に入ったものを買う。
 それを最後にやってた日本の有名なアーティストって誰なんだ
ろう・・・・岡本太郎とかなのかなぁ・・・・・・・・
 なんにせよ、日本のアート感と海外のアート感覚とを、
この最も日本らしい所作の村川に教えてもらったのは、
ちょっと面白いことでした。

昨日はマニア倶楽部編集部にて、早乙女宏美さまVS村川を、
これまた村川さん繋がりで出会ったケロッピー前田さんとかと
一緒に拝見したんですが、襦袢姿のままでぐるぐると繊細に
繊細に縛られ、畳に転がされて、村川さんの作品になっちゃった
早乙女宏美さまは、花束みたいに綺麗だったよ。

村川さんは来週頭まで滞在し、また英吉利に戻ります。
それまでもっとみっちり観察しておこうっと。