キョーコが参加していたとあるトーク番組の打ち上げ。ほぼ8割方が女性な女子会チックなその席での恋バナ。 
それも、「しばらく恋人はいらなーい。でも、生理終わったばっかで無性にムラムラしてるから、身体だけの男が欲しい。ある程度顔が良くて身体の相性さえ悪くなければそれでいいから。」なんて赤裸々なものまで飛び出すそんな席にて……欲求不満を語る女優の頭の上にあるバーの8割方がを満たすピンク色と、破廉恥な方向へと話題が移るにしたがってじわりじわりと上がってゆく他の同席のタレント等のメーターの動きなどの観察などから、キョーコが辿り着いた見えるようになってしまったメーターの謎についての仮説。
メーターが示すそれは、人間の三大欲求とされる食欲と睡眠欲……の、その残りのひとつを表しているのではないか?だった。
キョーコはそれを否定していた。いやいや、まさかそんな……と、それはもう必死に違うと思い込みたいと諦め悪くも足掻くかのように。
 
 
 
けれど、現実は非情かな。
キョーコはある意味その身でもって思い知るかのように、その仮説に間違いがないのだと確信してしまうのだった。
それは、女子会チックなその打ち上げからほんの数日後の事だ。
端的に言うと、キョーコは口説かれていた。
「ね?京子ちゃん、ちゃんと送って行くしちょっとだけでいいからさ?」
近ごろ、携帯電話会社のCMで演じた意外なキャラクター性とのギャップで話題となった男性タレント。
抱かれたい男なるランキングにも名前が乗る整ったルックス。さりげなく、けれどキョーコの逃げ道を塞ぐみたいに立ちふさがる高い身長。
本日の仕事も終わり。マネージャーは事務所の看板俳優の打ち合わせへと参加している筈なので、キョーコは言われた通りにタクシーを捕まえて帰宅する……そんなところをこのタレントに捕まってしまったキョーコは、食事とドライブへと誘われていたのだ。
あぁ、もう、しつこい。あと3回断ってもダメなら、怨キョたちに手伝ってもらってな金縛りでもって無理矢理にでも振り切って帰ろう……なんて決意を密かに固めていたキョーコをよそに、自分の魅力に自信のあるらしきその俳優は、俺と付き合ってみない?なーんて軽いアプローチへ生涯純潔を守り通す所存です!なんてばっさりとお断りだと突き返すように宣言してのけ、いくら口説こうとも一向に靡かないキョーコを相手にムキになったのか……
スキャンダルになるなんてキョーコが断り文句をつげようとも「京子ちゃんとなら大歓迎だよ?」なんて軽口で流すかのように、キョーコの腰へと腕を回しやや強引に車のある駐車場の方へとエスコートしようとさえしたのだ。
「京子ちゃんお酒強いって聞いたし美味しいお酒飲める店に行こうか?あっ、それとも俺の家に来る?この前、珍しいお酒もらってさぁ……」
酔わせて、又は自宅へと連れ込んでどうこうしてやろう……そう物語るみたいな獲物を見るかのようなギラついた瞳。
夏の暑さを引きずるかのような気温。まだ薄着な服ごしに感じるその体温にぞわりとキョーコの背中に粟立つみたいな寒気を感じる。
花開くみたいに美しくなったキョーコ。未だに地味な素うどんだなんて思っているのは、キョーコだけなのだ。
それでも、キョーコも二十歳になった。
女として、そういう対象としての目で見られている危惧くらいは肌で感じ取れる。
そして……今のキョーコには見えていたのだ。
さり気なくちろりと肌を舐めるみたいな視線を感じる度に、じわりじわりと男の頭の上のメーターを埋め尽くそうとするピンク色が。
キョーコへの生々しいがまでの男の欲情っぷりを物語るかのように。
 
 
 
 
 
 
さて、話はキョーコがしつこい男性タレントから無事に逃げ果せた次の日へと移る。
唐突にキョーコにだけ見える他人のメーター。それが示しているのは、どうやらその人の「欲情」であると、そう推測出来てしまった。
そうなればもう、前までは何とも思わなかったメーターを満たすピンク色にさえ、紫がかったネオンみたいな如何しささえ感じてしまって。
こんな人の秘密を暴くみたいな悪趣味なれば能力なんていりませんっ!!と、キョーコがどれ程拒絶しようと嘆けども……
キョーコには見えてしまうのだ。
意識しないように目を逸らそうと頑なになるキョーコを嘲笑うみたいに、はっきりとどうしても。
本当の本当の本当に……知りたくなんてなかったです。
心の中でそんな独白を繰り返しながらも、表面上はいつものにこやか表情を顔に貼り付けているキョーコ。それこそ、プロの女優魂をフル活用してまでな必死さでもってだ。
だって、そうであろう?
顔を背けるだなんてそんな不振で不躾な行動をして、不振に思われたり厭われたくなどは絶対にされたくないのだ。
何故ならば、今、キョーコの目の前で心なしか通常よりも煌びやかなまでの眩しい笑顔をキョーコへと向けてくれているのは、久しぶりに事務所で顔を合わせる事が出来た尊敬する先輩俳優なのだから。
 
 
 
少し上へと見上げたキョーコの視界に映るのは、密かなる想い人の笑顔。
そして、艶サラな黒髪の頭の上にメーターと如何わしいみたいなピンク色。
キョーコは心の中で思わずぽそりと思い浮かべてしまうのだった。
 
 
 
 
 
 
敦賀さんにも…………性欲ってあるんですね、と。
 
 
 
 
 
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 ○○○○ってなーんだ?
→答え、ムラムラ


いや、見たんですよ。ポップアップ広告で、ムラムラゲージが見えちゃうBでLな漫画を。
んで、シレッとした顔でいて実はむっつり蓮くんなムラムラっぷりがキョーコちゃんに見えるよーになったら…………おもしろいんじゃね?と。
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、


 
次回、…………こっからどうすんべ?←本当、どうしましょうか?
 

 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 
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