猫木めの勝手な書き散らかしサイトな我が家の4周年記念に、皆さまご存知!まじーんさまの罠へお邪魔な第3弾☆

 

【リク罠115】「ヤンマガ兄妹のテレビ出演(仮)」

 

にドボンと。

(*ΦωΦ)

 

 

決して嫌いな訳ではなく、むしろ好きなのに……猫木のところでは何故かあんまりいないあの兄妹さんたちのお話。

さて、どうなることやら?←毎度ののーぷらん☆

 長らく放置してしまってごめんなさいでした!

待っていてくださる方がいるのやら?謎な続きでまりまする。

 

 

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目的地へと車が辿り着くや早々、黒の上着のポケットから掴み出されたくしゃくしゃの万札を無造作に運転手へ押し付けた男。
釣り銭を受け取る余裕は微塵もないと妹を演じていたタレントの腰を抱え込むみたいにタクシーから連れ降りると、何も言ってくれないままの慣れた足取りでもってその高級マンションのエントランスを抜け上へと続くエレベーターのボタンを押す。
引く遠く唸るみたいな微かなモーターの起動音だけが響くエレベーターの中。
セツカ以外の人間を寄せ付けようとしない凶悪な兄だろうか……それとも、尊敬する偉大な先輩俳優?
カインならば、あくまでも妹であるセツカを恋人と呼ばないだろう。そして、演技において妥協のない敦賀蓮であるならば、蓮と別人のカインのままこのマンションへと帰る訳などない筈なのに……なら
 
 
 
 
このひとは……誰?
 
 
 
 
現実逃避みたいにぼんやりと靄がかかった頭の中浮かんだキョーコの疑問には答えが出せぬまま、ふたりを乗せた鉄の箱は最上階へと到着し、男に手を引かれたままキョーコは俳優の自宅の玄関へと引き込まれた。
うっすらと漂うのは、いつもであればキョーコを癒すあの良い香り。
けれど、レースアップのロングブーツを脱ごうとも出来ないままで立ち竦んでしまっているキョーコ。そんなキョーコへと振り向いた男の強い眼差しに細い肩が揺れた。
縋るように、願うみたいに……キョーコの微かに震える唇が「兄さん」とカインを呼ぶ声を紡ごうとするのだけれど、そんな妹の声を遮った低い声が「キョーコ」と妹ではない名前を呼んだ。
違うと訴えるかのように、ふるふると小さく左右に振られるピンクアッシュシルバーの長い髪。
伸ばされた男の腕は、玄関のドアに張り付いたみたいなキョーコの腰を、ひょいっとまるで猫の子でも持ち上げるかのように軽々とその腕に抱き上げてしまう。
ブーツを履いたままのタレントを縦抱きした男はリビングへと続く廊下を歩きながら、キョーコへと告げる。
「恋人の名前を間違え呼ぶつもりはないよ、キョーコ。」
セツカの願いを聞いてカインに戻るつもりはないのだと、はっきりと宣告するかのように。
キョーコが降ろされたのは洗練されたデザインの大きなソファーに腰を下ろした男の膝の上。
密着したその体制に、咄嗟に膝を降りようとするのだけれど……なんでもありそうなアウトローロックな服装をしていても妙に律儀で礼儀正しい彼女、ロングブーツを履いたままでラグの上に足を降ろすのを躊躇ってしまう。
まぁ、そんなキョーコの躊躇いなどなくても、がっちりと細い腰に巻き付くかのような男の腕には逃すつもりなど微塵も感じられないのだけれど。
「セツカでないと『正解』が分からないって……どういう意味?」
獲物を腕に確保したにした蓮が誤魔化しを許さぬかのような真剣な声でキョーコへと問うたのは、テレビ局の楽屋でヤンマガヒール兄妹を演じる予定のタイムリミットよりも前に、妹から恋人に戻って欲しいと蓮に請わたキョーコが逃げ出す前に零してしまった言葉。
ビクリと、怯えるかのように跳ねた細い肩。グロスの塗られた唇がキュッと噛まれ、耳から繋がるチェーンピアスが揺れて震えていた。
戸惑うみたいに伏せられた長い睫毛にまだ目の縁に残る涙の跡。
そんな痛ましいまでに追い詰められた恋人の頬を蓮はの指が優しく労わるかのように撫でる。
その温もりに促されるかのように、恐る恐るに視線を上げた紅茶色の瞳に映ったのは……
答えを聞き出すまで離すつもりはないと語るみたいにキョーコを捕獲していながらも、どこか不安の色さえ見えるような目でキョーコを覗き込む男の眼差し。
教えて?と強請るワンコみたいなその瞳は、ぎゅぅっとキョーコの心臓を締め上げるみたいで……
「だって……だって、私……何が『正解』なのか分からなくって……」
張り詰めていた糸がふつりと緩むみたいに、ぽつりぽつりとキョーコの唇は零すように声を紡ぎ出す。
ずっと……蓮との関係が先輩と後輩から恋人へと変わってからずっと、キョーコが悩み探し続けていた、蓮の恋人としての『正解』。
幼い頃から夢を見ていた幼馴染と駆け落ちに近い形で上京し、ふたりでひとつ屋の下共に暮らしてさえいたのだけれど、ただの家政婦扱いだったキョーコには恋人がいた経験なんて皆無で。恋人関係なんて未知なのだ。
ただでさえ少し特殊な芸能界の、それもトップに君臨するかのような人気俳優。尊敬し、密かに恋心を抱いて、それでも決して振り向いてはくれないと焦がれていた相手からのあまりに唐突な告白。
キョーコの逃げ道を塞いでじわじわと外堀を埋めるみたいなあからさまなまでの行動をされていてもなお、キョーコには蓮が自分にどれ程の深く致命的な執着を抱かれているなんてちっとも思ってやいないままで……
キョーコが身を置く一見煌びやかな業界、いやそうでなくともキョーコ程の年頃ならば溢れかえる程に転がっているだろう誇張やデマまで取り揃えたるさまざまな色恋沙汰の恋バナ。
今まで自分には関係ないって恋愛拒絶なラブミー部員らしく耳を塞いで遠ざけていたそんな話題に、やっとようやっと耳を傾けてみれば……だ。
着信やメールの返事は直ぐにがいいだとか、一日中に何往復だろうが即返信必須から連絡したい時だけな放置な適度な距離感だとか、胃袋を掴めと言われたかと思えば肉じゃがなんて狙い切った家庭的な女アピールでの圧力はウザいだとかもあったり。もういっそ、呼び出した時だけ来てくれて身体の相性さえ良ければいいなんてどうかと思うみたいな男の声さえ聞いてしまって。
そもそも、だ。きょーこちゃんを一途に想っていた筈が、あの元がついてしまう女優の小指にピンキーリングを贈っていたり、スキャンダル知らずな完璧ガードを誇っていた癖に如何にも大人なお姉さまみたいな女優に唇を奪われていたり……
そんな敦賀さんの恋人が私?
役を競ったあの子みたいな小悪魔みたいに器用に甘えてみせたりも出来なくて、割り切った大人の豊満で魅力的な身体もない、地味で色気のないこんな私のどこに惹かれたというのだろう?
貴方にとっての恋人ってどんな存在なんですか?
キョーコにはもう何もかもわからない。
それなのに、キョーコには、蓮は恋人として完璧に見えるのだ。そう、誰よりも優しく甘く見守るみたいに包むみたいに甘やかそうとしてくれるかのように。
だから、キョーコはキョーコなりに必死に『正解』を探して探して……ますます追い詰められてしまっていた。
だから、カインとセツカに戻れるというオファーが来た時、キョーコはほっと心から安堵した。
セツカなら『正解』が分っていたから。知っていたのだから。
なのに、だけど……それなのに…………
ぐずぐずに、キョーコをダメにしてしまうみたいな蓮の膝の上で泣きじゃくる幼子みたいに、しやくり上げる喉に引きつられた途切れ途切れに溢れて落ちてゆくそんなキョーコの号哭みたいな声。
そんな一方的で詰るみたいな身勝手な言葉も、止まらない涙もぐずぐすと鳴る鼻も、蓮にとって恋人以前に問題外で致命でまでの『不正解』だって分かりきっているのに、堰が切れたみたいに止められなくて。
引くつる喉から溢れて出てしまう言葉が吐き尽くされてしまって、再びふたりの間に落ちる沈黙。




恋人と、まだそうキョーコを呼んでくれた男の唇から落とされるだろう深い深い駄目出しのため息を予測して……
耐えるみたいに身を竦め、キョーコはぎゅっと瞼を硬く閉じたのだった。 
 
 
 
 
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お付き合いしてんのに、まだまだ空回ってすれ違っちゃうふたりって……なんか良くないっすか?←猫木だけなんでしょうか?
(。-∀-)
さて、泣いちゃってるキョコちゃんに蓮くんがどう出るのやら?


なんとかタイトル回収してはやいとこ纏めてしまいたいとですよ……
_:(´ཀ`」 ∠):



次回、身勝手な男の答え。←のーぷらん



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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