レッツ、パラレル!!←?
 
 
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家の前の坂道を登っていた筈なのに……いつの間にか森の中を歩いていた。
しばらき進むと、ひらけた草むらにぽつんと一軒の小さなお菓子の家。お菓子の家が私へとしゃべる。
「キョーコちゃん、これに着替えて?」
渡されたのは小さかった頃にお気に入りだったピンク色のワンピースと真っ赤な靴。
言われるがままにもそもそと着替えようとすると
「わっ!待って!まだ、まだだからっ……」
なんて、お菓子の家が慌てたみたいにぴょんぴょんって跳ねながら言うの。
低い、蓮の声で。メルヘンなお家の癖に低くて優しい声のギャップ、それがおかしくって笑ってしまう。
 
 
 
 
 
あぁ……私、夢を見てるんだ。
 
 
 
 
 
お菓子の家がいなくなって、小さな頃のピンク色のワンピースに合わせるみたいに私の身体も小さく小さく縮んでいって。
にょきっと生えてきた木になっている艶々のリンゴが
「キョーコちゃん、飲める?」
と、私にそのリンゴを差し出す。今度は久遠の声で。
リンゴの実をまるまる1個丸呑みなんて無理だと思うんだけど、グイグイと口もとに差し出されたリンゴを仕方がなくひとくち齧った。
シャクって瑞々しい音と食感がある筈なのに、口の中にあるのは液体で……びっくりしながらリンゴジュースを飲み干す。
ふわふわと浮かぶみたいに視界が揺れる。
学校の教室とかバイト先までの道が森の中でぐにゃぐにゃに混ざってた。
小さな身体が動きにくかった。
雨が降って寒くなったりお日様が登って暑くなったりを繰り返した。
シルクハットを被ってまんまるの目をしたカエルが冷たい手をおデコに置いてくれた。
蝶ネクタイをしたハリネズミが優しく頭を撫でてくれた。
それから……それから…………
森を出た先に、小さな小さなおとなりの男の子たちがいた。
嬉しくなってふたりのとこへ走るけど……どうしてもその距離が縮まらなくて。
それがどうしても嫌で、悲しくて寂しくて。
「久遠っ蓮っ!!」
何度も名前を必死で呼んでも、金色と黒のさらさらの髪をしたふたりの頭は振り返ってくれなくって。
走って、こけちゃっても走って。息が苦しくなって、それでも走って。
やっとふたりに手が届きそうなところまで追い付くと、かわいいわんこな男の子たちだったのが大きな今の蓮と久遠になっていて。
なのに、私はまだあのワンピース姿の小さなまんまで。
黒と翠色の綺麗な瞳が、がっかりしたって私を見降ろしていた。
 
 
「キョーコちゃんには、俺のキスも蓮のキスも同じようなものなんだ?」
 
「じゃぁ、もう一緒にはいられないね。キョーコちゃんは俺か久遠かどちらかなんて選べないんだろ?」
 
 
私を責める、冷たい低い声。
置いてきぼりにされたわんこみたいな、泣き出す前みたいな辛そうな顔。
そんな顔……しないで。キョーコがなんだってするから。おかしだって全部あげる。行かないでってふたりが泣くなら、同い年の女の子からの遊びの誘いもいらない。幼なじみの男の子に意地悪言われたって守ってあげる。
だから、だから……
待ってって思わずふたりに縋るけど…………
眼球が熱い。喉が苦しい。身体が重い。
一歩も動けなくなってしまった私を置いて、家の前の坂道を振り返らないままで下って行ってしまう久遠と蓮のふたりの背中。
 
 
 


 
 
目を開けると……目の前は真っ暗に近いくらいに薄暗かった。
キョーコちゃん?って、優しく私を呼ぶ蓮の声。
声を出そうとするけど、酷く咳き込んでしまった。喉が痛くって水が欲しかった。
待っててって、そう言って離れて行く足音。
ぞわりと寒気がして、重い身体でもぞもぞともがいていると、キョーコちゃんどうしたの?って久遠の声。
「蓮が……いないの。」
水を取りに行ってくれたんだって頭では解っているのに、蓮がそばにいないのが悲しくなって久遠にそう告げる。
大丈夫、すぐに戻ってくるよって、優しく髪を撫でてくれる絆創膏のついた大きな手。
 
 
 
 
 
あぁ、まだ……私、夢を見てるまんまなんだ。
だって、蓮も久遠も一緒にいてくれるって……
どこにも行っちゃったりしないって……
 
 
 
 
 
優しくあまやかしてくれる……どこまでも勝手な私の都合のいい夢の中なんだ。
 
 
 
 
 
 
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さーて、どこから夢でどれが本当やら?
 
 
 
あれー?20になる前に終わらせるつもりだったのに……終わらない。
そろそろ終わらせたひ。
_:(´ཀ`」 ∠):
 
 
次回、おはよう、キョーコちゃん。←とりあえず起きるのだけは決まっているらしいですよ。
 
 
 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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