はてさて、今宵のこれ。わんこたちな続きにちと行き詰まったところで、なんとなーくな思いつきな馬鹿話への逃避行にありんす。
くどい三人称な上に無駄に長いよ?
_(┐「ε:)_


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「さぁ、お願い致します!この子を……敦賀様のその胸へ、ぎゅぅっと強く抱き締めてあげてくださいませ!!」



と、そう願って蓮を上目遣いで見上げるのは、きゅらきゅと期待の色に煌めく愛しいキョーコの琥珀色の瞳。
抱擁せよと求められているのが、当のキョーコであったならば……脳内名医にすぐに期待へと傾く学習能力をフルで制御してもらいつつも、喜んでその願いを叶えたであっただろう。
だが…………現実は非情である。
蓮は、密かに恋い焦がれている愛しいキョーコの手によってズイッと差し出されたそれをちらりと見やり……
なんでこうなった?と、ひとり途方に暮れたのであった。




そもそものことのはじまりはそう。いつものようにぎちぎちなスケジュールの隙間に潤いを求めた蓮がラブミー部の部室を訪れようとしたのがきっかけであった。
にょほりとにやけて笑う敏腕マネージャーのもたらした情報によればこの時間にキョーコがいる筈。閉め忘れだろうか?うっすらと細く開かれた部室のドアをノックしようとした蓮の手は、ボソボソと漏れ聞こえるキョーコの声にぴたりと宙で止まったのだった。
「あーー!もう1ヶ月も残されてないっ!!どうしよう?……こうなったら…………敦賀さんにお願いするしか?でも……でも、どうやって?」
追い詰められ切羽詰まってぐるぐると悩み込んでいるらしきキョーコの悲壮なつぶやき。
役作りにでも行き詰まったのかな?と、そう軽く考えた蓮。キョーコに頼ってもらえるなんて、少しでもキョーコとの時間を求めている蓮にとっては願ったり叶ったりなんだからなんだからと
「どうしたの?最上さん。何か悩みごと?俺に協力出来るならなんでもするよ?」
一応のノックののちに、ラブミー部へと入るとキョーコへとそうにっこりと笑顔を向けながら告げたのである。
唐突に現れた蓮に、わたわたと慌てた様子でなかなか蓮への願い事とやらの内容を明かしてくれなかったキョーコ。
きゅらりときらめく似非紳士くさい笑顔と、教えてくれないと気になってご飯が喉を通りそうにないなぁ……なんて脅し文句でもって蓮がしぶるキョーコの口から白状させたそれ。
「どうかっ!!お願い致します!理由は聞かずにこの子をっ!!」
と、キョーコに差し出されたのは……
くたりと折れた黒い耳のもさもさと肌触りと毛並みの良い、真っ黒なわんこのぬいぐるみ。
まんまるい瞳がえらくキュートなそれは抱える程の大きさで……
何故、黒い犬のぬいぐるみを蓮が抱擁するのをキョーコが熱望するのかもまったくの不明。そのう上、抱かれたい男NO.1な男が抱きしめるには可愛すぎるようなそれに、たじりと少しの躊躇を見せる蓮。
だが、なんでもすると言ってしまった上に……だめですか?と、うにゅっと涙まで潤ませた上目遣いなキョーコを前に蓮が勝てる筈などなく。
第三者の目のないラブミー部の部室にて、ぎゅぅっと大きな黒い犬のぬいぐるみを抱っこする敦賀蓮という、どうにもシュールな状況と相成っているのである。
「あの……出来れば、もっとぎゅぅっと……こう、すりすりとですね?」
真っ黒わんこを抱く蓮に、ちくしょうかわいいなっ!なんてキョーコが密かにキュン萌えしているだなんて事は知らずに、もじもじと言いづらそうではあるが愛らしく願われて一瞬だけ身体を硬直させる蓮。俺が、ぎゅぅっとすりすりしたいのは君だからっ!!なんて願望は……口に出せる筈もなく。
悲しいかな、訳もわからぬままにマネージャーからの時間切れを知らせるメールの着信音が鳴るまでの間、ふわりと微かにキョーコの香りのするその犬のぬいぐるみを言われるがままにぎゅぅっと腕に抱き締めているしか出来なかったのである。
「ありがとうございますっ!!」
蓮が抱擁していた犬のぬいぐるみをうやうやしく受け取ってみせるキョーコ。
「これで……良かったかな?」
何がどうなってキョーコの悩みごとと犬のぬいぐるみが繋がるのやらもわからず、こてんと首を傾げてしまう蓮。だが
「さすが敦賀さん、完璧です!!これで……これで、最良が……手に入れられますともっ!」
ぱぁぁっとにこやかなハニースマイルでそう喜んでみせるキョーコに、最上さんが嬉しそうだからいいか……と、そう蓮は片付けたのだった。






そして、そんな蓮にとっては謎極まりない不可思議な出来事より数日が過ぎた。
その時も前回と同様にして、出来ることならば一緒に食事を、それが無理でもキョーコの顔だけでも見れたら……なんて考えながらラブミー部の部室へと訪れようとしていた時のことだ。
建て付けでも甘くなってしまっているのだろうか、それとも神のいたずらなのであろうか前と同じようにうっすらと開かれたドア。
そして、漏れ聞こえる声。
「…………それって、ほんとにそんな効果あるんですか?」
「きっとあります!だって、肌触りの良い生地選びからこだわりにこだわって作った抱き枕に深いリラックスをもたらす究極の癒しのセラピーの移り香。これが最良でなくばおかしいでしょう!!」
「はぁ……まぁ、美容はもちろん、成長ホルモンの分泌には上質な睡眠を取るのが一番いいとは聞くけど……」
聴こえてくる声は3つ。ラブミー部員勢ぞろいで何やら話し込んでいるようす。
「でも、撮影まてあと何日よ?グラビアの撮影までにサイズアップ、なんて間に合うのかしらね?」
「うっ…………でも、でもでも神の寵児の敦賀セラピーだものぅぅ」
「それに、移り香ってそんな長持ちしないわよ?定期的に敦賀さんとこへ抱き枕持っていって頼むつもり?」
「いっそ、揉んで大きくしてもらうのが一番手っ取り早いんじゃないですか?」
「揉んでって……は、は、破廉恥ぃぃぃぃ!!」
年ごろの乙女たちらしく、やれ胡散臭いアプリは効かないから買うのはやめときなさいやらマッサージ方法、果てには正しいブラの付け方から選び方などなどで盛り上がっているラブミー部一同。




もちろん、彼女らは気付いてもいない。
ドア一枚向こうで、グラビア撮影だと?と、ありがちなビキニでの撮影を思い浮かべて悋気な怒りを燻らせたり、あの黒犬のぬいぐるみは最上さんお手製の抱き枕?なら、もっと堪能しとくんだった!と悔やんだでみたり……俺の匂いが移った抱き枕で最良の眠りって、言ってくれたら俺が直接君を抱き締めるのにっ!?最上さんの胸を揉んで大きく?そんなの……俺以外の誰かになんてやらせるものかっ!!なんて、夜の帝王降臨の気配を滲ませつつ、どうやってキョーコを捕獲してやろうかと悪い顔で策を練る男の存在などには、まだ微塵たりとも。






さて、今宵のキョーコの最良の睡眠の行方やいかに?



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バストサイズアップへの成長ホルモン分泌に上質な眠りを求め、敦賀セラピーな抱き枕と眠ろうとするキョコさん。
羊枕な蓮さんもかわいかったけど、真っ黒カイン丸なわんこな抱き枕なキョコちゃんもかわいいのではないかと思うのですよ!!
もういっそ君たち一緒に寝るといいよ!羊蓮さんがおおかみわんこキョコちゃんを襲う逆弱肉強食な食物連鎖がよろし☆←?



なんだ、この中身のない話???
ご、ごめんなさぃ、いつもの猫木だけが楽しいやつだったかと……
_:(´ཀ`」 ∠):



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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