うそつきいじわるだいきらい。の駄目駄目ヘタ蓮さん視点、はじめました。
 
 
 
ごめんねゆるしてあいしてる。の続きっぽい代物にてございやする。
(ノ´▽`)ノ
 
 
 
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拾い上げた指さきで揺れる金のチェーン。
落としものだろうか……どこか目に留まりやすいところへ置いてやるか、TV局の人間に知らせるか?
そんなことを思い浮かべていた、その視界の奥に何かを探すように観葉植物の鉢植えなんかの影を覗き込んでいるひとりの人影を見つけた。
あれは、確かこの前どこかで共演した……
「もしかして……探してるのは、これ?」
床にへばりつく勢いで自販機の下を覗き込んでいる姿を意外に思いながら声を掛けると、振り向いたタレントの目が俺の持つ金のチェーンを見て見開かれた。
「あっ!そ、それっ!!……」
どうやら持ち主が見つかったらしいと、あたふたとした動きを見せるタレントの手に金のブレスレットを返した。
手の中の金色のそれにそっと大切そうに確かめるように触れて、ありがとうとほわりと笑う。
どちらかと言えば、クールで大人っぽい色のイメージをされていたタレント。
ダークグレーのピンバイスのパンツの膝は埃で白く汚れていた。
あぁ、彼女は確か…………
「おかしいよね?こんな、ブレスレットひとつに大袈裟に…………彼が、はじめてプレゼントしてくれたものだったから。」
少し照れたようにごにょごにょと誤魔化すようにそう小さく言って、左の手首に金のチェーンとハート型のチャームを揺らす。少し、チープでちくばくなくらいに見えるけれど
「いや…………よく、似合ってるよ…」
床を滑った時に絡んだのだろう、ブレスレットに手を伸ばし絡む糸くずをそっと取り払う。
何故か、その金の鎖にギシリと……胸が軋むような想いがした。
 
 
 
もう行かなきゃと、次の予定に押されながらも繰り返し礼を告げて去って行ったタレント。
そう言えば、彼女は若手の演出家とのロマンスが噂されていたな…………
何気なく、抑えたジャケットのポケットの中にあるリガードバングルの感触。
置き去りにされてらしまったのに……それでも、未練がましく捨てることも出来ないままの、最上さんへ贈った俺の気持ち。
あぁ、そうか。
あのやわらかに幸福そうに笑う笑顔のそばで、大切にされて当たり前に揺れていた金の鎖と、胸の軋み。
俺はあのブレスレットが酷く……羨ましかったのか
 
 
 
 
 
どれくらい、ぼんやりとそんな事を考えて立ち尽くしていたのだろう。
『ポーン』と、エレベーターがこのフロアに止まったことを知らせる電子音。
吐き出された人の騒めきに、『敦賀蓮』を貼り付けて不自然でないようにとりあえず歩きだす。
そんな俺の耳に聞こえて来た会話。
「さっきの見たか?すっごい色だったよなー!」
「あぁ、目に痛いピンク色のツナギの子だろ?恐ろしいファッションセンスだよなぁ、お笑いの新人かな、あの子?」
テレビ局のスタッフだろう男二人組か話すその内容に、ビクリと肩が跳ねてしまいそうになるのを抑える。
最上さん以外にもあのツナギを着るラブミー部の部員はいる……それに、今、会って……顔を背けられたら?だって、あの娘別れを告げたあの時に……
思考が深く沈んで、指さきから冷たく冷えて凍りつくみたいだった。そんなときに聞こえた、続けられた男のつぶやくような言葉。
 
 
 
「でもさ…………あの子、今にも泣きそうな顔してなかったか?」
 
 
 
ピタリと立ち止まる足。
唐突に振り返って走るようにエレベーターへと向かう俺に、愕然とした視線が向けられていたがそんな事には構ってもいられなかった。
さっき、このフロアに止まったエレベーター。何機かある内でも停止するフロアの決まったそれが、今このフロアより上に止まるのはただひとつのフロア。
焦った指がイラついた様に何度もエレベーターの上昇のボタンを押して、呼び出されたその機械仕掛けの箱の扉をこじ開ける勢いでマナーさえ無視して乗り込む。
重力に逆らうその動きの緩慢な遅さが、ただじりじりと焦れるようだった。
 
 
 
 
 
辿り着いたフロア、キョロキョロとあの愛しいピンク色を探すけれど、どこにもその気配も見つけられない。
……考えろ。幼い頃から泣く事さえ、その場所さえ探して隠れるようにして泣いていた………あの娘が、泣くのなら……誰にも見つからないように
建て替えられたばかりの真新しいビル。どこに行けば何があるのかもよくわからない、それはたぶんあの娘もそうだ。それなら、きっと……
 
 
 
 
 
フロアの隅、探し出したビルの外への鉄の扉を開く。
この国特有の夏の名残みたいに重く湿ったぬるい空気と、切り取られた狭い空。
ひとの気配のない上と下に伸びる階段に一瞬迷い、折り返しに伸びた階段の手すりを覗き込めば……数階下のふらふらと階段を降りてゆく栗色の髪の頭。
目もとを拭う手の動き、ピンク色のツナギがしょんぼりと小さく丸まって震えていた。
泣いている?誰が、何が……君を泣かせているのだろう?
誰よりも守りたい愛しい娘。
その辛そうな姿を抱きしめて、慰めたくて咄嗟に足音を殺しながら階段を駆け降りて行くけれど……
その背中まであと数歩な踊り場で、足が止まる。
 
 
 
 
 
だって……俺といると、君は寂しくなるんだろう?
俺に別れを告げた最上さん。
彼女が泣く……その泣き場所さえ、そんな俺がいることによって奪って我慢させてしまうとしたら?
抱きしめたいと伸ばす俺の手は……君に、拒絶されるの?
足が凍り付いたみたいに動かない。
耐え切れないと崩れ落ちた、震える小さな背中。
縋るみたいな泣き声が、呼んだ。
呼んでくれた。
 
 
 
「っ…ぉン……コォー…ン」
 
 
 
 
懐かしい、俺を呼ぶ愛しい声。
君の妖精としてなら……コーンとしてなら……
その涙を拭って、止めて上げられる?
ぐっと、爪が刺さる程に強く握り締めた手のひら。
 
 
 
 
そっと気付かれぬようにして、蹲る細い肩を抱き寄せて、愛しい君の名を口にした。
懐かしい、あの呼び方で
 
 
 
 
 
 
「キョーコちゃん………………ごめんね?」
 
 
 
 
 
 
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んー?
ドキドキ切ないすれ違い系が書きたかった筈なのに……これ、切ないんすかね?←体調不良と寝不足もあって、ほとほとよくわからなくなって参りました。
( ´△`)
 
 
まぁ、ここからが書きたかったとこらしいんで蓮くんにはがんばっていただきたいと思いやすですが……?
最終的には甘くなる予定だったんすけど、どうなんざしょうかね? 
( ̄□ ̄;)
 

 

↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

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