望むはずのなかった
作れるはずのなかった
手を伸ばしてはいけなかった


大切な、君


忘れたつもりななくても
枷を外すつもりがなくてても
切り離し繕って騙って閉じ込めて 



逃げ出した、罪





メーデー




ひたひたと広がる
ひたりひたりと流れ出す
君の、生命の赤色



ぴくりとも動かない
横たわる君
紙のように白い、頬
閉じられたままの瞳


『かわいそうにね?』


君の隣、しゃがみこむ
黒い影をした男
俺を見る悍ましい瞳
にたりと笑う唇
俺の顔をした男


『お前のせいだよ?』


許される日などやって来ない
罪には罰を
待っていたんだ
俺が幸せになるのを
知らなかったんだ
思いもしなかったんだ
そして、思い知ってしまったんだ



奪ったように……奪われる?
大切を手にしてからの方が
たまらなく、恐いだなんて
お願いだよ
おれを置いていかないで





ここは、暗い
君が、見えない





メーデー