ぶるまん。~ドキリ☆秋のコスプレ大会~参加作となっております。


生徒会室にて。の続き?同じ世界となっております。


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『入学式の後で。』



はじめて君と逢った瞬間の衝撃をはっきりと覚えているよ。
春の風に遊ぶ薄桃色の花吹雪と俺の脇腹に走ったあの痛みも、受け止めた君のぬくもりも。



カメラや携帯なんかを片手にわらわらと群がる女の子たち。
(めんどくさくて、煩わしい………)
にっこっと薄ら寒くなりそうな作り物の笑顔を張り付けながら、そんな事を思ってしまっていた。
話し出したらやめられない止まらないな息子絶賛オンステージを繰り広げてしまう両親には言えやしないけど………この見た目のせいで要らぬ苦労も多く、うんざりする事だってしばしばだ。
『うちの学校指定ジャージだっさいよね~』なんてクラスの女子が言っているのを聞いてから、こんな正式な式典以外の学校生活をそのジャージで過ごす事にした。
社さんには無駄な努力だと、貴島くんには出し惜しみすると反動が出るかもよ?なんて言われてしまったけど………学ランがストイックな感じで色気があるとか好き勝手言われてどこまでもどこまでも追いかけまわされた俺はもう、頑としてその臙脂色のジャージを着るようにしていた。


けど、今日はこの高校の入学式。流石に生徒会長として式典に出席するのにジャージなワケにも行かずに着用した詰襟の学生服。
式典が終わった途端に新入生から在学生、果ては来賓の方々にまで囲まれてしまった俺たち。
久方ぶりに袖を通した詰襟の学生服がズッシリと重く感じてしまう。
ウキウキと浮かれる貴島くんを残し、社さんの特殊体質なブリザードに助けられながら人の多い校門前から逃げ出した俺は、生徒会室でため息を吐きだしながらジャージに着替えるといつもの避難場所へと逃避していたんだ。




校舎裏の職員用の駐車場を更に超えた所、奥まったそこは人気ない小さな裏庭。
その片隅に一本の桜の木が立っている。
どうせ人が少なくなってから帰ろうと決めていた俺は時間つぶしに、その木の下に隠れるようにゴロンと横になって寝そべっていたんだ。
見上げる桜の花と暖かな陽気にいつの間にかうつらうつらとしてしまっていた。



そんな俺の脇腹にガスッと走った痛みと「きゃぁっ!」と高い悲鳴と同時に腹部にドテッと乗った衝撃。
驚いて目を覚ませば、腹の上にすらっと白く細い脚が乗っていた。

「あわっ!あぁっ!!ごめんなさいっ!!人がいるなんて気付けなかったんです。ごめんなさいっ!」

慌てて俺の上から飛び退いてぺたんと座って、そう早口に謝りながらペコペコと頭を下げるセーラー服の女の子。
どうやら頭上の桜の花に夢中になって足もとを見ずにいて、地面に転がっていた俺の脇腹に躓いてしまったらしい。

……い、痛かったですよね?本当にごめんなさいっ!!」

繰り返し必死に謝り続けている女の子。その頬は自分の仕出かした失敗を恥じて真っ赤になってしまっていた。

「………大丈夫だよ。君こそケガはない?」

ペコペコと小さくなって何度も何度も頭を下げる様子はなんだか小動物みたいに見えてしまう。そのちんまりとした感じに思わず、くすりと小さな笑みが漏れた。

「はい、大丈夫です。ありがとうございます。」

そう言って俺を見る大きな紅茶色の瞳。
それがみるみる内に丸く大きくなったと思ったら彼女が笑い出したんだ。
堪えられないと笑う彼女と、何故彼女が笑っているのかわからなくてきょとんとした俺。

「あははっ………頭、桜だらけですよ?」

そう言って彼女が手を俺の顔に伸ばす。その白い指が鼻の頭から1枚の花びらをそっと摘んでいく。

「鼻にまで乗ってましたよ?」

にこっと彼女がやわらかく笑う。
ざぁーと強い風が吹いて舞い上がる桜の花びら。
世界がその淡い色に染め上げられていく。






「れーん?おーい、蓮?蓮くーーん!?」

気が付けばいつの間には彼女はいなくなっていて、社さんが心配気に俺を呼びながら目の前でひらひらと手のひらを振っていた。

「なんだ……あれ?」

呆然としたままつぶやく。
そんな俺を見た社さんの頭の上にハテナマークが浮かんでいたけど、そんなの気にしていられない。

早く…逸早く俺の手元に確保して保護しておかないと危ないじゃないか、なんで捕まえておかなかったんだ………誰かに獲られたりなんかしたら……………どうしてくれよう?」

衝撃にかたまってしまっていた身体。指先からわきわきと動かせるようになっていく。

「あぁ……でも彼女うちの制服着てましたね。では、次の登校日には…………見つけてあげられるね?」

彼女へと続く確かな手がかり。
口角が勝手ににんまりと上がっていく。





ん?
どうしたんですか?
社さん、そんなに怯えて何かありましたか?





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ジャージした全裸先輩のジャージの理由が明らかに。笑。
いや、彼はちゃんとジャージの下に着てますよ………今は。←


キョーコちゃんが裏庭なんぞに迷い込んだ理由は、新入生たちが母娘で校門前にて記念撮影する姿から目を逸らしたかったから………とかかな?
(・・;)



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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