「まぁ、予測外の展開………流石はお姉様ですわ!」



押し倒すのも押し倒されるのも、はじめてじゃない。言葉にすれば語弊があり過ぎるものとなってしまうけれど………
だから、大丈夫と胸を張るまでは絶対にいけずとも、もしかしたらたぶんなんとかなってしまえるやもしれない?くらいのあやふやさと勢いで蓮を押し倒してしまったキョーコ。
彼女は、彼の上でいっぱいいっぱいにテンパっていた。
(あ、あれ?これから………どうすればいいんだっけ?)
その手の知識を急激に詰め込んだキョーコの初心であった頭は、オーバーヒートでも起こしたかのように、先のシュミレートを組み上げる事なく行動を起こしてしまっていたのだった。そして、そんな混乱に進退極まった状態のキョーコは何か行動を起こさなければ!とキュルキュルと頭を働かせ、そこに強く焼きついたその記憶へとすがりついてしまったのだった。
そして、キョーコがその間違いに気付くのはその記憶をなぞるように行動してしまった後の事となってしまう。



対して、そんなキョーコに押し倒された蓮も挙動にこそ現れていないがキョーコと同じくぐるぐると混乱の渦の中にいた。
闇へと沈み込み身動きも取れないままに朽ち果てそうだった彼に救いの手を差し伸べてくれた事務所の食えない社長、その傍迷惑なまでのラブモンスターにでっかい釘をぐっさりと深く刺されてしまったあの日。あの日にだって、可能であったならば頷いてくれて手を取ってくれた愛しい彼女を連れ帰って、そのすべてを暴いて貪って溶け合って抱いて自分のものにしてしまいたかったほどに欲しくてたまらないキョーコ。
そんな愛しい彼女から突然に押し倒されて。
女性に押し倒されるシチュエーションがはじめてと言ってしまえるほど清いワケなどなく、ただ、自分の上に乗り上げたその一瞬にウロッと視線を彷徨わせて途方にくれたような表情が小動物じみていてそんなさまさえ愛しくて触れたくて捕まえてバリバリと食べてしまいたくなるような気持ちにさせて、ガリガリと容赦無く我慢に我慢重ねて耐える蓮を煽るキョーコ。純粋で無垢で穢れのない、そんなキョーコがだ。
「じゃ………いいですよね?」
蓮の頬を指先で掠めるように撫で、艶さえ含んだ声でもってそんなことを蓮の耳元へと顔をうずめ囀るようにその耳へと吹き込むと、やわらかく耳朶を食んだ。
「大丈夫………優しくします。」
なんて、そんな
(それは、俺が君に言いたい台詞だ!)
と、思わずにそう浮かんで来てしまうような台詞に。
かぷっと、そんなかわいらしく耳朶を食む唇の感触に。
ジワリと蓮の中に怒りが灯る。それはすぐに許容の出来ない激しいものに代わり、蓮の逞しい腕がしゅるりとキョーコの腰へと伸びるとクルリとその軽すぎる身体をさらうように自分と体制を入れ替えた。
バサッとキョーコの髪がソファーの上を打って広がる。蓮は自分の下に組み敷いたキョーコの顎を捕らえると、彼女がいつも真っ赤にきょどきょどと震え苦手とする男の顔をさらけだした。
「どこの誰にそんな事教わってきたのかな、キョーコ?」
悋気に燃える怒りをたっぷりに含んだ低い声が問う。脅えるその姿も愛しくてかわいくて憎いようなキョーコ。その紅茶飴みたいな琥珀色のまあるい瞳に、目を逸らすのも許さぬと強い視線を投げながら。
敏感な蓮の怒センサーを搭載してしまっているキョーコがフルフルと震えながら、うっかりと口から零す。



「だ………誰って…ま、まなぶ?」




そんな火に油を注ぐような致命的な一言を。




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ザ☆発熱中、猫木にございます。
風邪かな?


んー、やっぱり三人称はくどくなって字がみっしりで進まない。(´Д` )
読みにくくないですかね?大丈夫?


さーて、まなぶって誰でしょうね?ゆるえもん様さえ置き去りなこの暴挙☆




↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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