「絶対に別れないからね………」
それだけ告げると、荒々しくキョーコにの唇を奪った。



テレビ局の休憩スペースで貴島とふたりきりでいたキョーコ。その彼女が言っていた恋の終わり。脅え震える様子。
それらが、もともとなかった余裕を根こそぎ奪い取っていく。
優しさなんて欠片も残ってない俺は、無理矢理キョーコの唇をこじ開けるようにして押し入り逃げる舌を捕まえ吐息さえ逃さないように蹂躙していた。
甘さなんてまったく感じられないようなキス。強張るキョーコの身体と震える両の手。
キョーコが辛そうにはらはらと涙を零す。


「そんなに………泣くほど俺にキスされるのが苦痛?」
ギクッとしたような表情で凍り付く君。
「さっき、貴島に恋の終わりが見えてるって言ってたよね…………。キョーコは、もう俺のそばにいてくれる気はないってこと?」
「………ごめんなさい…ごめっ」
キョーコが俺から目を逸らしてあやまる。
それが、キョーコの答え?
俺とそんなに別れたい?
自分の中の凶暴なあいつが舌舐めずりしている。もう、それを抑えていられない。


「そう………残念だな。俺、女優京子のファンだったのに………」
自分でもぞっとするような冷たい声が出た。
「キョーコはもう、この部屋から出さない。仕事もさせない。どこへも行かせない。………誰にも会わさない。」
獲物をいたぶるようにそうじわじわと、震えるキョーコの耳にふきこむ。
「俺からは離れられないように………俺なしでいられないようにしてやる。」
キョーコを、肩に担ぎあげるようにして持ち上げ寝室へ向かう。


「いや!………いやです!敦賀さん!」
途中でどこに向かっているか理解したらしいキョーコが暴れ出す。そんな痛くもない抵抗なんて物ともせずに寝室へと連れ込むとベッドへ放り投げるように降ろし、その身体を押さえ込んだ。
「やっ!はなしてっ!」
「………俺に挽回のチャンスもくれないのか?」
キョーコの中に俺を受け入れてくれる気持ちはもう微塵もないの?
そんなに………俺が嫌いになった?
「………こんな………ひどい。」
キョーコの首に所有印を付けようとしていると、キョーコがそんなことを言うのが聞こえた。
その瞬間に感情が抑えらなくなってしまった。
「ひどい?………ひどいのは、キョーコの方じゃないか。あんなに追いかけて追いかけてやっと手に入れたと思ったのに、たった一度だけあたえておいて………こんな夢中にさせておいて、どうして!?」


愛してる愛してる愛してる愛してるーーーこんなに好きなのに、こんなにほしいのに………キョーコは残酷だ。たった一度受け入れてくれただけで後は拒絶する。あたえられた、受け入れてくれた幸せを忘れることなんて出来ないのに!


「どおして?俺がなにしたの?どうしたらいいの?何をすれば、なんて言えばキョーコは俺といてくれる?そんなに俺がキライ?なんで?なんで?どおして?」
駄々をこねる子どものようにキョーコ訴える。そんな俺をキョーコが唖然としたような顔で見上げている。


そのキョーコにくちづける寸前まで接近して囁くように言った。
「このまま、無理矢理に抱いたら…………また、キョーコは俺に抱かれるんじゃなかったって………後悔するの?」
キョーコが小さく息を飲むのがわかる。




「でも………それでも、キョーコをはなしたくない。キョーコがいないと………もう、息も出来ない………」










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