眠れぬ夜 寝返りばかり打ちおるを
昼見た案山子が二二ッと笑う
(歌集 扉の向こう)
毎夜、暑くて寝苦しい。
扇風機やエアコン、最終兵器である氷枕も動員してなんとか猛暑をしのいでいるが、どうにもこうにも寝付きが悪い。
眠れない夜というのはやっかいなもので、余計なことばかりつらつらと考えてしまう。
過去は変えられないし、未来はまだ変えられる。
そうと分かっていてもついつい不安や後悔の深みへとハマってしまう性格なのだ。
若い頃は、そんなネガティブ思考を改善したいと啓発本を読んだりイメトレなんかを試してみたが…とんと効果が無かったことを考えると、この性分は多分死ぬまで治らないのだろう。
とはいえ、昔は苦手だったミョウガも食べられるようになったし、誕生日にもらった趣味じゃないマグカップだって20年間使っていたら友情が芽生えた。
そう考えると、時間が経てば何でも変わっていくのかもしれない。
きっといつか、自分のネガティブな部分にも愛着がわいてくるのだろう。……たぶん、ね。
なんてことをつらつらつらつら考えてしまって、やっぱり眠れない。
そんな時に上の短歌を思い出す。
そよそよとそよぐ稲穂の中にのんびり立つ案山子。
それがニニッと笑ってこっちを見るのを想像する。
なんだかいい感じに力が抜ける。
それでやっとうとうと眠って、
2時間後に猫に起こされる、までが最近の日課だ。