中国原発「トリチウム」は福島第1原発処理水の9倍 いまだ「核汚染水」と水産物輸入停止「日本は〝攻めの姿勢〟に出よ」石平氏

中国・習近平政権の厚顔・横暴ぶりがまた一つ、明らかになった。中国の原発が2022年に放出した排水に含まれる放射性物質トリチウムの量が、東京電力福島第1原発処理水の年間放出計画量の上限に比べ、最大9倍にも上ることが中国の公式資料で明らかになったのだ。昨年8月24日に福島第1原発で処理水放出が始まって以降、処理水を「核汚染水」と非難する中国は、日本産水産物の輸入停止措置を続けている。日本をはるかに上回るトリチウムを放出しながら理不尽な対応を取ってきた中国に対し、識者は「日本政府は攻めの姿勢に転じるべきだ」と指摘する。

22年の原発の運用状況や安全性のデータを記録した23年版の原子力専門書「中国核能年鑑」によると、13原発計19カ所の観測地点で放射性物質を調べたところ、7割以上に当たる15カ所の排水に含まれるトリチウムの量が、福島第1原発が放出を計画するトリチウムの年間上限量の22兆ベクレルを超えていた。

浙江省に立地する秦山原発が22年に放出したトリチウム量は202兆ベクレルと、福島第1原発の9・1倍だった。広東省の大亜湾原発と陽江原発はいずれも5倍超え、寧徳原発(福建省)は4倍に上った。22年版の年鑑では、21年については観測地点計17カ所のうち13カ所で処理水の上限を超えていた。

そもそも、福島第1原発では、多核種除去設備「ALPS」で放射性物質の浄化処理を行い、どうしても除去できないトリチウムを、国の規制基準の40分の1、WHO(世界保健機関)の飲料水基準の7分の1に希釈して放出している。IAEA(国際原子力機関)も「国際的な安全基準に合致する」と評価する。

これに対し、中国は中傷を続けてきた。2月23日の記者会見でも、中国外務省の毛寧副報道局長は「日本は国際社会の懸念に真剣に応え、責任あるやり方で『核汚染水』に対処すべきだ」と述べていた。だが、むしろ中国こそ、国際社会に対する「責任ある対処」が必要ではないか。

評論家の石平氏は「日本はこれまで、何も悪いことをしていないのに、処理水放出に関する中国の言いがかりに対して自分たちの立場を守る姿勢を取ってきた。今回を機に、日本は『攻めの姿勢』に出たほうがいい。IAEAと連携し、日本政府としてあらゆる国際会議でこの問題を提起して、中国を問いただすべきだ」と話した。