IAEAお墨付き処理水放出、中国と韓国野党が難癖 小野寺元防衛相「説明しても仕方ない相手に丁寧な無視ですね」

IAEAお墨付き処理水放出、中国と韓国野党が難癖 小野寺元防衛相「説明しても仕方ない相手に…丁寧な無視ですね」© zakzak 提供

東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に、中国と韓国野党が反発している。中国はASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)閣僚会議の議長声明で、放出反対を表明するよう提案していた。韓国野党議員らは来日し、首相官邸前で抗議運動を行った。福島第1の処理水に含まれる放射性物質トリチウムの年間排出量は、両国の原発よりはるかに少ないことを知らないのか。

中国は14日にインドネシアで開かれるARF閣僚会議に向けて、「反日」活動を続けている。ASEAN外交筋によると、処理水を「核汚染水」と呼び、ASEAN諸国や周辺の島嶼(とうしょ)国を取り込み、対日圧力を強める狙いがあるとみられる。

韓国野党「共に民主党」と無所属の計10人の国会議員は10日、首相官邸や国会、原子力規制委員会の前で相次いで抗議集会を開き、「放出計画を即刻撤回せよ」などと訴えた。

日本政府と東電は、多核種除去設備(ALPS)などで浄化した処理水を、国の規制基準(1リットル当たり6万ベクレル)の40分の1、世界保健機関(WHO)の飲料水基準の7分の1に希釈して流す計画。年間排出量は、事故前の管理目標と同じ22兆ベクレル未満を予定している。これは、中国や韓国の原発の排出量より、はるかに少ない=地図参照。

国際原子力機関(IAEA)も4日、「国際的な安全基準に合致する」との包括報告書を発表した。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権も、放出が韓国海域に及ぼす影響はほとんどないとの検証結果を公表している。

このため、自民党の小野寺五典元防衛相は10日、「誠意が通じない。説明、反論しても仕方ない相手にはやはり丁寧な無視ですね」とツイッターに投稿した。

中国と韓国野党の動きをどう見るか。

島田氏「岸田政権は日本の立場を毅然と主張せよ」

国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一名誉教授は「日本政府が『圧力に弱い』と見て、抗議してきている。IAEAが科学的なお墨付きを与えており、日本は強い立場にある。岸田文雄首相をはじめ、林芳正外相はもっと国際発信し、松野博一官房長官も毅然(きぜん)と日本の立場を主張しなければならない」と話した。