LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案を巡り、衆院内閣委員会の審議入りを控えた8日、自民党内では与党案への反発が改めて噴出した。法案は女性の権利侵害につながる可能性が指摘されているにもかかわらず、審議時間はわずか80分間。自民内には日本維新の会と国民民主党の法案を評価する声が根強く、党幹部は維新との協議など対応に追われる。

「党議拘束をかけないでほしい」

自民の中村裕之衆院議員は8日、国会内で開かれた党代議士会で、与党案について党幹部にこう訴えた。周囲から「そうだ!」との掛け声が上がり、拍手も沸き起こった。党幹部は与党案について再協議する考えを示したという。

法案を巡っては▽与党案▽立憲民主、共産、社民の3党案▽維新・国民案─の3案が提出され、9日の衆院内閣委で一括審議し採決される見通しだ。

自民内で与党案に対する不満が高まっている要因の一つに、与党案の提出後、維新と国民が「女性の権利・保護」や「学校教育」に配慮する独自案を提出したことがある。維国案は、自民内の議論で指摘された与党案の懸念点を一定程度解消する記述を盛り込んでいるためだ。

自民安倍派(清和政策研究会)の8日の会合では、山谷えり子参院議員が維新・国民案を参考に与党案の修正を求めると、賛同者が拍手を送った。山谷氏は産経新聞の取材に「参院は熟議の府だ。国民の理解を深め、懸念を払拭するためにも、十分な審議時間を確保してほしい」と語った。

一部の保守系議員らは同日、国会内で法案への対応を協議。衆参両院の本会議での採決で造反するかも含め、意見交換したとみられる。(奥原慎平)