China’s war chest: how Beijing is using its currency to insulate against future sanctions | China | The Guardian

 

ロシア制裁の罠

中国の人民元が国際通貨としての存在感を高めている。ウクライナ戦争を契機に中国人民元による国際決済が大幅に増加しているのだ。

もちろん、これに危機感を募らせるのはアメリカである。

ブルームバーグによれば、今年3月、中国の輸出入の決済での人民元の比率(48%)が初めて米ドル(47%)を上回った。

人民元決済が最も増えているのは、エネルギー大国ロシアとの間の貿易だ。

西側諸国の制裁により国際金融決済網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除されたロシアは、中国が構築した「人民元国際決済システム(CIPS)」を利用するようになった。ロシア中央銀行は、4月上旬「昨年のロシアの輸入決済の人民元のシェアが前年の4%から23%に急上昇し、今年もその比率は上昇している」ことを明らかにしている。

背景にあるのは、もちろん西側陣営のロシアへの経済制裁だ。しかし、人民元の広がりはロシアだけではない。

サウジもブラジルもアルゼンチンも…

中国は今年3月、アラブ首長国連邦(UAE)産LNGについても人民元建てで購入することを取り決めており、エネルギー取引の分野で人民元の存在感が高まりつつある。

ロシアとともに人民元決済に意欲的なのはブラジルだ。

ブラジル政府は3月末、中国との間の決済をSWIFTではなくCIPSで行うことを決定した。ブラジルは大豆やトウモロコシなどの大輸出国であることから、今後、穀物取引の分野でも人民元のウエイトが大きくなることが予想される。

南米ではアルゼンチンも4月26日「中国からの輸入に関する決済をドル建てから人民元建てに変更する」と発表している。

中国が関与しない貿易でも人民元での決済が始まっている。

4月28日付サウスチャイナ・モーニングポストは、「バングラデシュはロシアが建設する原子力施設の資金を人民元で支払う予定だ」と報じた。

中国のこうした動きに、アメリカは神経をとがらせている。