日本との関係改善の前に韓国は「竹島侵略」の謝罪と償いを ルール無視継続なら「経済制裁」辞さず 大原浩氏が緊急寄稿

 

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席した岸田文雄首相と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「短時間言葉を交わした」と韓国メディアがはしゃいでいる。経済不安を抱える韓国は日本にすり寄っているが、この動きに待ったをかけるのが国際投資アナリストの大原浩氏だ。緊急寄稿で大原氏は、韓国側が島根県・竹島の不法占拠を謝罪しなければ「経済制裁も致し方ない」と主張する。

ロシアによる北方領土の不法占拠は全く許しがたいが、日本が不法占拠されているのはそれだけではない。

朝鮮戦争のどさくさに紛れる形で52年1月,韓国の李承晩(イ・スンマン)大統領は「海洋主権宣言」を行って,いわゆる「李承晩ライン」を一方的に設定した。国際法に反するが、同ライン内側の広大な水域への漁業管轄権を主張し、竹島を取り込んだのだ。

さらに54年6月,韓国内務部は韓国沿岸警備隊の駐留部隊を竹島に派遣したことを発表。8月には,竹島周辺を航行中の海上保安庁巡視船が同島から銃撃され、韓国の警備隊が竹島に駐留していることが確認される。以後、韓国による不法占拠が現在まで続いているのはご存じの通りだ。

日本政府が北方領土問題に弱腰なのは情けないが、それ以上に「竹島侵攻」に、ほぼだんまりを決め込んでいるのはおかしい。

ちょうど5月に、文在寅(ムン・ジェイン)氏が大統領を退任し、代わって尹氏が就任した。尹氏が日本との関係改善を望むのであれば、竹島の「侵略」を謝罪し、即刻不法占拠をやめるべきである。

だが、これまでの韓国の対応を見る限り、彼らが日本に謝罪するとは考えにくい。「俺は悪くない。悪いのは全部お前だ」という文化の国だからだ。

それでは、日本はただ「戦略的放置」を続けるしかないのであろうか。そんなことはない。韓国に対する「経済制裁」という強力な武器を持っているのである。

2019年、日本政府が韓国に対し半導体関連素材(フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミド)3品目の輸出管理を厳格化した。

これは外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づいた適切な輸出管理実施が理由であり、決して「経済制裁」ではない。しかし、韓国では天地がひっくり返るほどの大騒ぎとなった。私に対しても、某韓国テレビ局から「経済制裁」に関する取材依頼があったが、前提が間違っているので丁重にお断りした。

日本にとっては単なる事務手続きだが、韓国にとっては手痛い「制裁」だったといえよう。逆に考えれば、もし日本が本気で韓国に経済制裁を行えば相当な効果があるということである。

実際、韓国の産業は、日本からの先端素材や優れた製造装置の輸入によって成り立っている。韓国は、日本の先端素材を使い、優秀な装置で製造する「場貸し」業を営んでいるともいえるのだ。日本は韓国から必要不可欠なものを輸入しているわけではないから、万が一、両国の貿易が完全にストップしたとしても痛くもかゆくもない。

1997年のアジア通貨危機で韓国が事実上国家破綻した際に、国際通貨基金(IMF)だけではなく米国・日本も彼らを積極的に支援した。しかし、今回は日本、米国と韓国の通貨スワップ(交換)協定が失効した中で、世界的な資源・食料価格の高騰により、韓国に外貨不足の懸念が出てきている。

日本は寛容な国であるから、韓国のように「1000年謝罪し続けろ」などと根に持ったりはしない。たった一度、真摯(しんし)に謝罪すれば「すべて水に流す」国である。

韓国がそれさえできないというのであれば、経済制裁も致し方ない。国際ルールを無視して勝手な振る舞いを続ける韓国を、世界の国々が助けることもないだろう。

■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。